第22章 終わりと始まり
~岩泉side~
体育館の扉から、黒いジャージの集団がはいってくる。
・・・来たか、烏野。
自分らの練習をこなしながら、チラリと目をやる。
大会会場では見かけていたが、直接ウチと当たった事はない相手。
ここ数年では、上位に名前すら上がってこなかった所と練習試合だとか、どういう事だと思っていたが。
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及「いま溝口君から聞かされたんだけどさ、来週の火曜日の放課後に練習試合組んだって」
「あ?火曜の放課後?また急な話だな」
監督とコーチに呼ばれ、何かを話していた及川がそんな事を告げた。
及「何でも、相手校の顧問が凄い熱心にコンタクトして来て、根負けしたみたい」
「へぇ・・・で?どこだ?」
及「烏野だって」
・・・烏野?
また珍しい所から申し込みだな。
かなりの格下とも言える高校からの申し込みを、根負けしたくらいの理由で受けるとは、何かうちにメリットあんのか?
及川の話を聞きながら、そんな事を考えていた。
及「烏野に・・・飛雄がいるらしい」
「影山?そんな理由で練習試合受けたのか?」
及「それだけじゃないみたいだけど、メインはそれっぽい。練習試合を受ける条件として、飛雄をフルで出せって言ったとか」
「いや、烏野にだって正セッター居ただろ?3年の」
影山が入部したっつっても、そんな条件出して3年の正セッターを控えに回すなんて、しないだろ。
ウチで言ったら及川を使わずに1年で回すって事じゃねぇか。
しかも、あの影山だ。
イキナリ中に入れて、それで烏野は回るのか?
まぁいい、監督達が決めた事だ。
及「ホントに飛雄が来たら・・・この手で参りましたって謝っちゃうくらい押さえてやるんだから!」
「ほぅ・・・じゃあまずその足をとっとと治してこいや!まともに練習にも入れて貰えねぇヤツがほざいてんじゃねぇよ!」
及「痛いって岩ちゃん!悪化したらどーすんのさっ」
「うるせぇ!早く病院行ってこい!」
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そうだ、及川・・・
授業が終わってすぐに病院行かせたのに、まだ戻って来ねぇ。
今日は及川の代わりに矢巾で・・・って話だが、セッターとして入れなくても、一応及川は主将だからな。
不在のままじゃ相手にも悪いだろ。
代理は俺でも出来るが、そうじゃねぇしな。