第22章 終わりと始まり
元気よく返事をして、私はスクイズボトルを集めながら体育館から出た。
体育館を出て、水道場に着くと簡単にスクイズをすすぐ。
さすが青城・・・
大きな体育館の建物内で全ての事が出来るような設備が整ってる。
体育館だと言うのに冷暖房完備だし、何せ水道はお湯と水が両方使える。
『凄いなぁ・・・』
思わず言葉が零れた。
ドリンクの粉末をそれぞれのスクイズに入れて、水の量を調節しながら注いでは並べていく。
まとめて蓋をして振って溶かせば時間短縮出来るし。
そんな事を考えながら、次々と作業をして行く。
月島君のに別の物を入れながら振り返ると、自分が青城の女生徒3人に囲まれていることに気がついた。
『・・・あの、何か?』
私がそう声をかけると、3人はクスリと嫌な笑いを浮かべながら間を詰めてきた。
「アンタ、北川第一の城戸さん、でしょ?」
『そう、だけど。それがなにか?』
名前を聞かれ、そうだと答えれば、クスクスと笑いながら、やっぱり、と返される。
「私達も、北川第一なんだけど?忘れたの?」
そう言われ、3人の姿を訝しげに眺める。
私の知り合いに、こんな茶髪や巻き髪、それにやたらメイクの濃い人なんて見当もつかない。
『ちょっと、分からないかも。それに今、忙しいから特に用事がないなら、悪いけど・・・』
そう言って、背中を向けて作業の続きをしようとすると、腕を引っ張られ振り向かされ壁に押しやられる。
「そっちに用事がなくても、コッチにはあるから」
「アンタさぁ、及川さんとどんな関係?」
及川さん?
彼女達の口から及川先輩の名前が出て、顔を上げて相手をよく見てみる。
あ・・・思い出した・・・
中学時代からの、及川先輩の取り巻き女子・・・
及川先輩が何かと私に構ってくれる度に、呼び出されては、及川先輩と喋るなとか、仲良くするなとか言って来たメンバーだ。
また面倒なのに捕まったなと、ため息がこぼれた。
「ちょっと、黙ってないでなんか言いなさいよ!」
『別に、及川先輩とはただの先輩後輩ってだけだけど』
それは嘘偽りのない事実。
「は?そんな言い訳聞くために声かけたんじゃないんだけど」
「そうそう。私達、見たんだけど?」
『見たって言われても』
「去年のクリスマス・・・アンタ及川さんと一緒にいたでしょ?」