第22章 終わりと始まり
日向君と分かれて体育館の中へと戻ると、みんなそれぞれに準備を始めていた。
影「お前どこ行ってたんだよ」
『ん?ちょっと日向君の様子見に行ってた』
影「は?日向?・・・アイツまだガチガチしてんのか!」
イラつきを見せ、今にも日向君の所へ行こうと立ち上がる影山を押さえる。
『日向君、大丈夫だから。それに、影山がそんな風に追い詰めたら、余計に緊張しちゃうでしょ』
影山の肩をポンッと叩いて、私は立ち上がった。
澤「あ、紡!ちょっといい?」
『はい、いま行きます!』
澤村先輩に呼ばれ、駆け足で向かう。
澤「これから俺と先生で青城の監督とコーチに挨拶してくるから。スガはメンバーを、清水と紡はマネ仕事の方を頼むよ。じゃ、先生行きましょう」
澤村先輩と武田先生は頷きあい、相手チームのコートへと歩いて行った。
清「私達も、準備しましょう」
『はい!何から始めたらいいですか?』
私がそう返すと、清水先輩はそうね・・・と言って、菅原先輩に声をかけた。
清「菅原。澤村は今日、ビブスは何色使うって言ってた?」
菅「えっ?特には何も聞いてないけど?」
清「じゃ、菅原が決めて。枚数の確認するから」
菅「あ~・・・じゃあ燃えるあ、」
清「赤ね。城戸さん行きましょう」
菅原先輩が言い終わる前に清水先輩が言い切り、私の腕を引いて歩き出す。
菅「ちょっと清水!微妙な空気残して置いてくなって・・・」
菅原先輩が言うと、清水先輩はちょっとだけ振り返り、面倒・・・とひと言だけ告げた。
菅「清水・・・ホント、オレだけに冷た過ぎない?」
そんな事を菅原先輩が言ってたけど、清水先輩は何も聞こえないかの様に作業に手をつけはじめた。
清「とりあえず急ぐのはビブスと、スクイズ、それからワイピング用のタオルの配置ね」
『あ、私ドリンク行きます。行きながらワイピングの設置もするので、清水先輩はそれをお願いできますか?』
清「わかった。でも、帰りは重くなるのに大丈夫?私も行くよ?」
清水先輩が手荷物からビブスを取り出しながら、私を振り返る。
『大丈夫です!腕は2本あるし、こう見えても力仕事は出来ますよ?』
両腕をブンブンと振り私が言うと、清水先輩は頼もしいわね、と笑い出した。
清「じゃ、お願いする」
『はい!では行ってきます!』