第22章 終わりと始まり
「あの、城戸さん?!何してるの?!」
声がうわずりながら、ギュッとオレを抱きしめている城戸さんを見る。
『日向君は大丈夫!日向君なら出来る!』
そう言って背中に回した手をポンポンとしてくる。
『怖くない、大丈夫!日向君には私がついてるから。だから、緊張のドキドキを私が半分貰ってあげる』
そう言いながら、何度も何度も背中をポンポンとしていた。
『・・・どう?ドキドキは治ってきた?』
そのままの体制で、城戸さんが顔を上げ問いかけてくる。
うわっ・・・か、顔、近っ!
そう思っても、なぜか城戸さんから視線が外せない。
「あ、う、うん・・・まぁ・・・」
今は違う事でドキドキしてます・・・なんて言ったら、怒られちゃうかな。
『よかった。桜太にぃのおまじない、日向君にもちゃんと届くといいね』
言いながら、城戸さんが体が離す。
「うん。城戸さん、ありがとう。・・・あの、あのさ!もし、だけど・・・練習試合始まって緊張が復活したら・・・」
『いいよ?日向君が頑張れるまで、何回でもおまじないしてあげるから』
城戸さんの言葉に、オレはホッとして笑顔を見せた。
『じゃあ、私はみんなの所に戻ってるね?』
「オレは・・・顔でも洗ってからにする」
言葉を交わし合い、それぞれの方向に向かって歩き出した。
さっきのおまじない・・・ビックリしたよ。
城戸さんの甘い香りと、ギュッと抱きしめられた体温を思い出す。
なんかスゲェ・・・ドキドキしたなぁ。
・・・城戸さんは、ドキドキとか、しないのかな?
いやいやいや、今はせっかくおまじないして貰ったんだから練習試合に集中しなきゃ。
れ、練習試合、練習試合、練習試合・・・
や、ヤベェ。
考えすぎて・・・またお腹痛くなってきた。
ドキドキも、城戸さんのドキドキから緊張のドキドキへと早変わりする。
オレはヨロヨロしながら、落ち着ける場所へと足を早めた。