第22章 終わりと始まり
矢「可愛い紡さん、是非1度お茶でもしながら甘いひと時を過ごしませんか?」
・・・・・・・・・。
矢巾さんの言葉に呆気に取られていると、慌てて金田一君が間に入る。
金「や、矢巾さん!女子に見境なくナンパするのヤメテ下さいよ!」
矢「何でだよ金田一。可愛い女の子には、声をかけるのが礼儀ってモンだろ?」
・・・なんだか。
金「違いますよ!ほんと矢巾さん、軽いッスね!」
矢「紡さんの前でそう言う発言、辞めてくれるかな、金田一?」
・・・この人。
『及川先輩みたい』
そう言って我慢出来ずに私は笑い出した。
金「城戸?」
『えっと、矢巾さん、でしたよね?ダメですよ、そんなナンパみたいなのは私には通用しませんから。・・・及川先輩ので慣れちゃってますし』
そう言って笑うと、矢巾さんはえぇ~っと驚きながら笑って、じゃあ、ナンパじゃなくって本気ならどう?なんて事まで言い出した。
金「とにかく城戸はダメッスよ、矢巾さん。コイツは岩泉さんのモンなんスから」
『あっ、金太郎それは・・・』
矢「ええっー?!・・・そうか・・・岩泉さんの・・・岩泉さんもあんな堅物そうにしてて、こんな可愛い彼女がいるとかズリぃなぁ。いや、お茶くらいなら岩泉さんだって許してくれるハズ!」
金「懲りないッスね・・・矢巾さんも」
もう、違うんだけどな・・・
なんとなくその事実を言い出せずに、私は俯いた。
金「お前それより、随分とイメチェンしたな?岩泉さんに怒られなかったか?」
『え・・・?あ・・・うん・・・どう、なんだろうね、あはは・・・』
岩泉先輩が、知ってるはずなんて、ないよ・・・
昨日は偶然、及川先輩と会って、見られてしまったけど。
もしかしたら、及川先輩が話してるかも・・・なんて思ったりもする・・・
金「なんだ?ケンカでもしてんのか?」
『そういう訳じゃ・・・』
黙り込む私に気を使ってくれてるのか、金田一君が心配そうに聞いてくる。
金「あ?じゃあ何だ?・・・ま、どっちにしてもあれだけラブラブオーラ出してたんだから、ケンカしてもすぐ仲直り出来っだろ?」
『あの、だから。そういうんじゃなくて・・・』
こういう時、何て説明したら・・・
それより、こんな事を説明しなきゃいけないのも、どうなんだろう・・・
困ったな・・・やっぱり来なかった方が・・・