第22章 終わりと始まり
「この身長差で、僕に勝てると思ってんの?」
『あー!すぐそうやってちっちゃい呼ばわりするんだから』
ポチは小学生のように、ちょっと拗ねて見せた。
「さっきの不愉快なヤツ、誰?」
『不愉快?さっきのって、金太郎の事?』
そう返してくるポチに、僕は目線だけでそうだと告げる。
『金太郎は私と同じ中学で、影山と同じバレー部だったの。部活の時は隣同士のコートで、スクイズ空になると、あげたり貰ったりしてたんだ~。月島君みたいにあ~んなに大きいのに、優しいんだよ?』
「僕みたいに背が高いのに、優しい?・・・それじゃ僕が優しくないみたいだろ」
『・・・・・・・・・』
「黙るのやめてくれる」
僕がそう言うと、実に微妙な顔をして笑っていた。
「じゃ、イワイズミさんて、誰」
『え・・・?』
ほら・・・またその顔。
「誰?」
『誰・・・だっけ、かな・・・?』
そう言って横を向きながらも、ポチがさっきと同じ顔をしているのが分かる。
「ふぅん?・・・じゃあ、ラブラブオーラって?」
・・・リュック越しにも伝わってくる、ポチの反応。
何でいま、体を震わせた?
『さぁ・・・なんだろう、ね。金太郎、人違いでも、してるのかな・・・』
「・・・そ」
何か、変だ。
何なんだよ、このモヤモヤした感じ。
それにこの、ポチの煮えきらない反応。
そんな事を考えながら、烏野メンバーのいる場所へと歩いて行った。