第22章 終わりと始まり
ポチを目の前に様子がおかしい。
あれは絶対、ポチに気がある態度だ。
ああいうの見てると・・・イライラする。
だいたい、ポチもポチだ。
あんな風に笑顔撒き散らして、誰にでもニコニコニコニコといろんな話しちゃって。
ここがどこだか、分かってんの?
何しに来たんですかって、自分で田中さんにも言ってたデショ。
それなのに敵チームのメンバーに愛想振りまいて、笑顔向けて仲良しこよし?
チッ・・・冗談じゃない・・・連れ戻す。
ため息を吐きながら、ポチの方に足を向ける。
金「お前それより、何で烏野なんかにいるんだよ?それに随分とイメチェンしたな?岩泉さんに怒られなかったか?」
『え・・・?あ・・・うん・・・どう、なんだろうね、あはは・・・』
・・・岩泉さん?
その名前が上がると、ポチの顔色が変わった。
金「なんだ?ケンカでもしてんのか?」
『そういう訳じゃ・・・』
金「あ?じゃあ何だ?・・・ま、どっちにしてもあれだけラブラブオーラ出してたんだから、ケンカしてもすぐ仲直り出来っだろ?」
『あの、だから。そういうんじゃなくて・・・』
「ポチ」
背後に立ち、ひと言だけ声をかけながら、肩を掴み無理やり振り向かせる。
『あ・・・月島君・・・』
・・・な?!
何でポチは・・・泣きそうな顔、してるんだ?
さっきまであんなに愛想振り撒いてたのに?
金「ポチ?って、城戸の事か?」
「・・・ナニ?」
僕の口以外からポチと呼ばれるのは不愉快極まりない。
そう思う僕の顔は、当然、これ以上ない不機嫌さを出しているワケで。
金「あ、いや、別に」
タジタジとする相手から視線を外し、ポチのリュックを引っ張る。
「澤村さんが、早く来いって呼んでるから」
『大地さんが?分かった、行こう月島君。・・・金太郎、じゃあまたね・・・』
「行くよ」
『あ、ちょっと引っ張らないでよ月島君』
僕はリュックから手を離すことなく、ポチを連れて歩き出した。
『あのさ、歩きにくいんですけど?』
チラリと僕を見上げながら、ポチが軽く抵抗する。
「だから?」
『離して貰えると嬉しいかな?って』
「ムリ。離すとポチ、脱走するから」
『しないから!犬のお散歩じゃないんだから』
バタバタと手を動かしながら、ポチが更に抵抗してくる。
ホント、小さい。