第22章 終わりと始まり
あのデッカイ方、影山を王様って呼んだ?
って事は、アイツも影山と同じ中学出身なのか?
思わず足を止める。
ー そっちでどんな独裁政権しいてんだか、楽しみにしてるわ ー
影「・・・・・・あぁ」
・・・・・・・・・。
何アレ。
いつもみたいに威勢よく跳ね返してくれなきゃ、面白くないだろ。
ツマラナイ。
「山口、行くよ」
山「え?あ、うん」
隣の山口に声をかけ、1歩踏み出すと離れた場所からポチが走って来るのが見えた。
『あ!いたいた!田中先輩!!』
ポチは田中さんの所まで行くと、足を止め軽く息を整えると手に持っていた物を突き出した。
『田中先輩!シューズ忘れてましたよ!』
田「ぉあっ?!マジか?!」
『マジか?!じゃありません!練習試合に来てシューズ置いてきぼりとか何考えてるんですか!他の物なら代用ききますけど、シューズは個人の大事な物でしょ?!』
田「お、おぅ。お嬢、スマン・・・」
縁「おっと、城戸さんは厳しいなぁ?」
『厳しくなんかありません。当たり前の事です。致命的な忘れ物ですよ?田中先輩はここに何しに来たんですか?遊びですか?』
・・・小さい犬ほどよく吠えるってやつか。
武「城戸さんは、しっかり者ですねぇ」
ー 城戸?!城戸って、あの城戸か?! ー
は?
さっきのデカイ奴が声を上げ、ポチが振り返る。
『・・・金太郎?!』
金太郎?!
アイツそんな名前なのか?
声の主を確認すると、ポチはニコニコしてそいつに駆け寄った。
『わぁっ!ホントに金太郎だ!久し振りだねぇ、卒業式以来だよね?』
金「だぁっー!!金太郎って呼ぶなって言ってんだろ!オレは金田一だ!!」
『えぇ?イイじゃん別に金太郎で。可愛いじゃん?』
金「かわいくねーよ!!」
ポチの知り合い?
そういえばポチも影山と同じ中学出身だったか。
『・・・じゃあいいよ。もう呼ばないから。・・・金太郎って呼ぶの、私だけだったし嫌ならもう呼ばない』
金「・・・・・・お前だけなら・・・許す」
『ホント?!じゃあ、私の事も紡って呼び捨てでいいよ?』
金「えっ?!あ、えと、・・・イキナリ呼べっか!!」
よく分からないやり取りをして、ポチはニコニコと笑顔を振り撒いている。
何コレ、なんかイラッとすんだけど。
それにあの金田一?