第22章 終わりと始まり
~月島side~
さっきのは何だったんだよ。
王様にくっついて無防備に寝てるとか、有り得ない。
ポチのくせに。
何かといえば、王様はポチにご執心。
そんなにお気に入りなら、どっかに隠しとけよ。
それとも何?
見せびらかしたいとか?
・・・バカバカしい。
田「今日は絶対に負けねぇ!」
何の根拠もなしに田中さんが叫ぶ。
はぁ・・・こっちはこっちで、面倒だな。
だいたい練習試合なんだから、勝とうが負けようがどうだっていいデショ。
言葉に出さずに悪態を着きながら歩いていると、どこからか烏野がどうの、マネージャーがどうのといった話し声が聞こえてくる。
田「月島、聞こえたか?いま潔子さんの噂してたよな?」
「・・・さぁ、どうなんですかね」
どんだけ地獄耳なんだ、この人は。
田「確かにコッチから聞こえた。よし、月島も着いて来い」
何で僕まで・・・ホント、面倒。
仕方なしに後ろから付いていくと、校舎の壁際から話し声の方向を田中さんが覗いた。
ー そういえば烏野にさ、ガラの悪いヤツいたなぁ。坊主で目付き悪くてさ、頭悪そうな顔した・・・そうそう、例えばあんな感じの・・・ぅわあ!! ー
プッ・・・驚いてる驚いてる・・・
そりゃあそうさ、まさか自分が噂して悪口言ってる相手が・・・目の前にいるとは思ってもいなかっただろうからね。
ー あ、えっ・・・と ー
声の主は田中さんを見て居心地悪そうに目を泳がせてる。
田「あんまウチをナメてっと・・・喰い散らかすぞ」
ー ?!?! ー
「・・・ッ、そんな威嚇しちゃダメですよ田中さ~ん。ホラ・・・エリートの方々がビックリしちゃって可哀想じゃないですか~」
ー べっ、別にビビってねぇよ!! ー
フッ・・・そういう所が、ビビってる証拠デショ?
田「おぅ、そうだなぁ。イジメんのは試合中だけにしてやんねぇとなぁ?」
ー ヒィィ!! ー
澤「お前ら!!!」
あ、ヤバ、澤村さんだ。
捕まる前に離れとこ・・・
澤「ちょっと目ェ離した隙に!!・・・失礼しました!」
ー あ、いえ・・・ ー
澤「・・・田中、その顔ヤメロ!」
はぁ・・・これ以上ここにいて、面倒事に巻き込まれるのは勘弁だ。
そう思って、僕は山口と歩き出した。
ー 久し振りだな、王様 ー
王様・・・?