第22章 終わりと始まり
澤「今のは影山の負けだな?じゃ、時間もないし荷物運ぶぞ!みんな支度して!」
『はい!』
澤村先輩の言葉に元気よく返事をする。
澤「紡は着替えてからおいで?」
『え。でも私、学校出る時も何も・・・』
菅「大丈夫だって!それにオレ達み~んな、準備なんてそんなの比べ物にならない程の、可愛い~寝顔、見せて貰ったからさ?」
『菅原先輩?!』
な、何か凄い恥ずかしいんだけど・・・
澤「ま、そういう事だからさ?俺達が降りたらカーテン閉めて着替えておいで?・・・清水、悪いけどさっきの処理頼む!」
澤村先輩が言うと、清水先輩は頷いて消毒液やらビニール袋などを用意し始めていた。
『あの、さっきの処理って?』
私が聞くと、清水先輩は手を休めることなく、バスの中での出来事を教えてくれた。
私はそれを聞いて、急いで身支度を整え、清水先輩の作業を手伝った。
清「うん、これくらいやっとけば帰りまでには乾くわね」
『何かすみません・・・日向君が吐いたとか、私そういうの気が付かないくらい寝てしまって・・・』
清「大丈夫。菅原も言ってたように、私も可愛い寝顔、見てたから」
『清水先輩まで、やめて下さいよ・・・もぅ』
クスリと笑い、清水先輩はゴミをまとめて立ち上がる。
清「城戸さん、私はこれを捨てに行ってくるから、忘れ物チェックだけお願いできる?」
『お任せ下さい!城戸 紡、隅から隅までチェックします!!』
ポンッと胸を叩くと、清水先輩は笑いながら、じゃ、お願いねと言い残してゴミを捨てに行った。
私はそれを見送ると、カーテンをひとつずつ開けながら、各座席の忘れ物をチェックした。
あ、忘れ物発見。
って言うか、これシューズケースだ。
・・・中身入ってるし、誰のだろう。
引っ張り出すと、ケースの横には大きく〖 田中 〗と書いてあった。
田中先輩・・・大事な物を忘れてる。
練習試合なのにシューズ忘れたら致命的でしょうに・・・
私はそれを持ち、戸締りの確認をしてから武田先生に預かった鍵でドアを閉め、みんながいる所へ急いだ。