第22章 終わりと始まり
コイツはコイツで、自分の傷と・・・戦わなきゃなんねぇんだよな。
城戸をそっと抱き寄せ、息を吐く。
どんな気持ちで、青城に行くんだ?
そもそも、どんな覚悟を決めて仕事を引き受けた?
お前の部屋の、あの写真立て。
捨てもせず大事にしてるって事は・・・
まだ・・・・・・好きなんだろ?
忘れたとか、もう終わったなんて言ってたけど。
・・・寝てる相手に、俺は何聞いてんだ?
まぁいい。
この先もし、お前が誰かを選んでも、それでも・・・それでも俺は。
いつでも側にいてやるから。
だから今は、寝かしといてやる。
これからの時間の為に、頭ん中カラっぽにしておけ。
小さく息をつき、城戸を覗き見る。
さっき、狼の群れから寝顔を守れって言ってたな。
その言葉を思い出して、清水先輩を見る。
視線を感じてか、こっちを見て静かに微笑まれた。
菅「影山、紡ちゃんガチ寝?」
コッソリ聞いてくる菅原さんに、俺は無言で頷いた。
菅「マジか?紡ちゃん、きっと可愛い顔して寝てんだろうなぁ」
そっと立ち上がろうとする菅原さんを、コホンと咳払いをして清水先輩が留まらせる。
清「・・・影山」
「・・・ッス」
そう言われて、俺は掛けられたタオルを少し持ち上げ、城戸の寝顔が周りから見えないように掛け直した。
まったく・・・無防備にスースー寝やがって・・・
誰にも見られないように、そっと城戸の頬を撫でる。
この時間は今、俺だけの物。
そんな小さな優越感を感じながら、城戸を更に抱き寄せた。