第22章 終わりと始まり
澤「先生、そうなった時は俺達全員で土下座でも何でもします。だから、待たせて下さい!」
澤村さんがみんなを見回しながらハッキリとそう言った。
月「・・・はぁ・・・僕はそんなの、嫌ですけど」
山「ツッキー!」
いや、俺だって実際にそうなったら・・・月島と同じ意見だ。
でも今は、アイツが間に合うことを祈りたい。
武「では、城戸さんが来た時にすぐ出かけられるようにしておきましょう。僕は城戸さんの代わりに働きますから!」
「「ッス!!」」
それから俺達は手分けして荷物を運び込み、それが終わると武田先生と澤村さん以外のみんなはマイクロに乗り込み、待機していた。
俺は荷物を運ぶ途中の自販機で買った物を手に持ち車から降り、澤村さんの隣に並んだ。
澤「影山?」
「城戸はきっと、ガムシャラに走って来ます。その時、先生と澤村さんだけがここに居たら、アイツは多分、自分が遅れた事を、責める。だから俺もここで待ちます」
今にもアイツが現れそうな方向を見たまま俺がそう言うと、澤村さんもわかったと言って頷いた。
まだ・・・来ない、か。
そう、一瞬だけ目を閉じた時に、日向が騒ぎ出した。
日「来た!あれ城戸さんだろ?!」
その声に反応して、日向が指差す方へと視線を向ける。
やっと来たか!
小さな豆粒程の影が、すぐに城戸だと分かる勢いで走ってくる。
制服のジャケットを翻しながら、スカートが風にはためくのも気に止めず、思い切り走って来る。
アイツ、どんだけだよ。
猛ダッシュする姿に、思わず口元が緩む。
『遅れてごめんなさーーい!!って、わっっ』
澤「危なっ!」
「おいっ!!」
軽い衝撃を受けながら、間一髪で城戸を抱きとめた。
武「はぁぁぁ、ヒヤッとしましたよ。影山君、ナイスキャッチでした・・・」
『あはは、危なかった・・・』
「あははじゃねぇだろ、このボゲェ!ほんっとお前は毎回毎回!!ちゃんと足元確認しろ!!まったく・・・」
怒りながらも城戸を離し、俺自身もホッとため息を吐いた。
澤「まぁまぁ、影山?その位にしてあげなさいよ?」
「・・・分かってます」
『大地さん、武田先生、それから皆さん!遅れてすみませんでした!』
城戸が思い切り頭を下げて謝ると、どういう訳かみんなが口を揃えたように、いま運び出しが終わったところだと言った。