第22章 終わりと始まり

～影山side～

部室から荷物を運び出しながら、何度も校舎の角を見る。

アイツ、まだ職員室で捕まってんのか？

菅「影山、紡ちゃんと同じクラスだったよね？紡ちゃん、何で和泉先生に呼び出されたのか分かる？」

菅原さんが俺を振り返りながら聞いてくる。

「いえ、特には･･･」

俺がそう返すと、菅原さんは、そっかぁ･･･と声を漏らす。

菅「なぁ大地？和泉先生って、確かオレ達の学年しか教えてないよな？」

澤「あぁ、あとアレな。１年の進学クラス」

菅「でも、影山と同じクラスって事は、紡ちゃんは進学クラスじゃないから、直接的には関わりないべ？」

菅原さんに話を振られ、俺は頷いた。

縁「和泉先生かぁ、城戸さんも面倒な人に呼び出されたよね」

側で話を聞いていた縁下さんが、気の毒そうに言う。

「あの、そんなにヤバイ先生なんですか？」

澤「ヤバイっていうか、う～ん、ちょっとクセが強いっていうか、」

澤村さんがそこまで言った時、遠くからバタバタと足音が聞こえ、一斉にそっちを見た。

菅「武田先生！」

武「お待たせしてすみません。僕も運ぶの手伝いますね」

菅「先生あの、紡ちゃんは？」

菅原さんが言うと、先生は荷物を持った手をピタリと止めた。

武「城戸さんは今、和泉先生と大事なお話をしています。何でも、入学までの英論文の出来が素晴らしかったとかで、夏休みに短期留学する事を勧められているようです」

「「短期留学？！」」

武「はい。和泉先生は城戸さんの英論文を見て、１度話をしたかったと言っていました。･･･実は城戸さんが不安そうだったので、僕も同席してあげようと思ったんですが、その、和泉先生に追い払われてしまって･･･」

短期留学？！

･･･城戸が？！

まぁ、アイツの成績の良さは中学の時から知ってるし、今更ビックリする事でもないけど･･･

武「それで、城戸さんが追い払われた僕を気にしてくれて、遅れるようなら先に出発して欲しいとまで言ってましたが･･･」

澤「先生、まさか･･･」

武「もちろん･･･僕は待っていてあげたいと思っていますよ？」

先生の言葉に、周りがほっとするのが分かった。

武「ギリギリまで待って、それでも遅れそうなら僕が青葉城西に遅れてしまうと連絡を入れます･･･大丈夫ですよ、最悪、土下座してでも練習試合、お願いしますから」