第22章 終わりと始まり
武「城戸さん・・・」
武田先生に呼ばれ、私は無言で頷いた。
和泉「どうやら生徒の方が、しっかりしている様ですね」
武「分かりました。僕はみんなの所で準備のお手伝いをしています。みんなには僕から説明しておきますから、あなたは和泉先生のお話をしっかり聞いてきなさい。それでは和泉先生、宜しくお願いします」
武田先生はそう言って、私の頭をポンポンとして背中を向けた。
隣にいた武田先生が離れると、途端に不安が募り、思わず武田先生の腕を掴んでしまう。
武「・・・っと。城戸さん??」
『武田先生・・・あの、もし私が15分・・・いえ、10分経っても来なかったら、先に出発して下さい。青城までの行き方は分かります、だから、みんなを連れて先に』
こっちから練習試合を懇願しておいて遅刻したなんてことになったら、それを必死でお願いしてくれた武田先生の努力がムダになる。
そう思って、武田先生に私はそう告げた。
武「城戸さん、あなたが言いたい事は分かります。だけど、澤村君達があなたにかけた言葉を、忘れてはいけません。彼らは城戸さん、あなたも一緒に行って欲しいんです。ね?彼らとした約束、忘れたわけではないのでしょう?」
『・・・はい』
武「さ、和泉先生の話を済ませてしまいなさい。僕はあなたの代わりにマネージャー補佐の補佐をしてきますから」
武田先生は柔らかに微笑んで、職員室から出て行った。
和泉「それじゃ、城戸さん。本題にはいろうか。ちょっとこっちへ」
『はい・・・』
和泉先生に促され、職員室の中の衝立に囲まれた応接室へと案内された・・・