第22章 終わりと始まり
『ここに乗せてくれたら、それでいいから』
城戸さんがお弁当のフタをツッキーの方に向けた。
でも、ツッキーはそれを見ようともせず、手を伸ばしたまま・・・
月「早く。それとも?アーンとか言った方がいい?」
『わーっ!わかった、分かりました!』
ツッキーの言葉攻撃に根負けしたのか、城戸さんがそれを食べた・・・
ー 今の見たか?!あの月島が・・・ ー
ー キャー!やっぱり月島くんとあの子って?! ー
・・・ほら。
みんな騒いじゃうじゃん・・・
そう、しょんぼりしていると・・・
『山口君?はい、口開けて?』
え、口開けて?!
言われた事にビックリしながら城戸さんを向くと、オレの目の前に卵焼きが・・・?!
「き、城戸さん?!」
『良かったら、どうぞ?桜太にぃの卵焼き、美味しいよ?』
こ、これは、いいんだろうか?!
どうしようと迷っていると、城戸さんが更に勧めてくるから、とりあえず・・・食べた。
『美味しいでしょ?』
「甘い・・・でも美味しいね!」
モグモグと口を動かしながら、せっかくだからとオレの卵焼きを勧めた。
ツッキーと同じように勧めると、城戸さんは照れながらも食べた。
『あ、塩味・・・月島君のはだし巻きだったけど、コレもアリかも?美味しい!今度作ってみよう~』
ニコニコしながら城戸さんが言って、その場は収まった・・・ハズだった。
3人でお弁当を食べ終わって、残りの時間をおしゃべりしてると、すぐに昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
じゃあまた放課後ね?と言い残して、城戸さんが自分の教室に戻ると、それまで遠巻きに見ていたクラスの男共がザワザワとしながらオレ達の周りに集まってきた。
ー 今のなに?!どっちかのコレ?!なぁなぁ教えろよ ー
「いや、そんなんじゃないし・・・」
ー 違うのか?おい、あの子、可愛かったよな?今まで話しかけにくいと思ってたけど、山口、今度紹介しろ! ー
「そういうのは受け付けないから!」
何でオレにばっかり・・・と、ツッキーを見ると、いつの間にかヘッドフォンをかけて他人のフリを決め込んでる・・・
ツッキー・・・助けてよ・・・
そんな願いも虚しく、放課後になるまで質問攻めに合う、オレだった・・・