第22章 終わりと始まり
午後の授業が終わり、急いで教室を出る支度を始める。
影「おい城戸、行くぞ」
『うん、行こう!早くしないと武田先生も待ってるし、それに部室から荷物運ばなきゃだしね?』
影「あぁ」
2人並んで、早足で廊下を歩く。
階段をいくつも降りて、何で1年は最上階なんだろうかとさえ思ってしまう。
やっと昇降口まで来た時、校内放送に先を阻まれた。
【 生徒の呼び出しをします。1年3組の城戸紡、1年3組の城戸 紡、至急、職員室の和泉まで。繰り返します・・・ 】
いや、繰り返さなくても聞こえてますから!
しかも和泉って誰ですか?!
『せっかくここまで来たのに・・・職員室って2階じゃない・・・聞かなかったことに・・・』
ボヤきながら影山を見ると、真顔でお前なんかやらかしたのか?などと聞いてくる。
『影山じゃあるまいし、そんな訳ないでしょ!・・・はぁ、ちょっとダッシュで行ってくる・・・』
そう言って背中を向けると、リュックをグイッと引っ張られる。
影「持ってってやるから、軽量化して行け。その方が早いだろ」
影山の言葉に甘えてリュックを渡し、よろしく!と声をかけて、今降りてきたばかりの階段を駆け上がった。
職員室の手前まで走り込み、息を整えるために足を止めた。
こんな時に呼び出しとか、影山じゃないけど私なんかしたかな?
あらかた息を整え終わり、よし!と職員室の前に立つと、それと同時にドアが開く。
『わっ・・・た、武田先生・・・』
武「城戸さん?・・・あ、ちょっとちょっと、こちらへ」
武田先生は後ろ手で職員室のドアを静かに閉めると、私を扉から少し遠ざけた。
武「城戸さん、和泉先生に呼び出される様な事、覚えがありますか?提出物出していないとか、何か他にも」
『提出物も何も、武田先生から聞くまで、その人が先生であることすら知りませんでした。私、何で呼ばれたんでしょうか?』
私が答えると、武田先生はう~ん・・・と腕を組んだ。
武「いえ、和泉先生は英語教師で、提出物とかに凄く厳しいんです。だから、もしかして?と思ったんですが・・・教科担当でないのなら、何でしょうかね・・・」
『これから急いで支度しなきゃ行けない時に、どうしよう・・・』
武「そうですねぇ・・・あ、それなら僕も一緒に和泉先生の所へ行きましょう。車はスグに出せますし」