第22章 終わりと始まり
月「ふぅん・・・ 」
そう呟いて、月島君はジッと私を見ていた。
『な、何か問題でも?』
月「別に・・・行くよ、ポチ」
『えっ?あ、ちょっと!』
急に私の手を引いて歩き出す月島君の背中に声をかけても、無言でスタスタと歩いて行く月島君からは返答はない。
『ねぇ、行くよって・・・どこに?!』
山「ツッキーはね、一緒に食べようって言ってるんだよ」
『一緒に?!私と?!何で?!私は別に、1人で大丈夫なんだけどっ?』
山「まぁ、イイじゃん?・・・それにさ、ツッキーがこんな風に誰かを誘うとか滅多にないし?」
山口君がこっそりと私に耳打ちをする。
月「山口、うるさい」
山「ごめんツッキー」
月島君が誰かを誘うのは、珍しい事なんだ?
でも、何でだろう。
そう思っているうちに、彼らの教室に着いてしまった。
『あの、もしかしなくても・・・教室で?』
山「何で?別に大丈夫だよ?さ、早く早く!」
山口君が言いながら私の背中を押して、教室の中に入れた。
『お、お邪魔します・・・』
山「お邪魔しますって、城戸さん面白いね?」
『だって、私は一応隣のクラスの人間だし。なんとなく?』
そう返すと、山口君はそんなもんかなぁ?なんて言いながら3人でお弁当が食べられるように机や椅子を並べていた。
ー あの子、隣のクラスの・・・だよね? ー
ー あ、入学式の日からあの髪色で来てた子じゃない? ー
ー 待って待って!今あの子、月島に手を繋がれてたよね?! ー
・・・・・・・・・。
とてつもなく、周りの女子の視線が痛い。
ー 月島が引っ張って来たけど、もしかして、アレか?コレかコレ? ー
ー え、でも、あの子さっき山口を探してたんじゃねぇの? ー
ー じゃ、ドッチにしてもどっちかのコレだろ? ー
男子達に至っては、あなたは飲み屋の酔っ払いですか?っていうような、小指を立ててアレだのコレだのとざわめいている。
山「城戸さんココ座って?俺の席だから、全然気にしなくていいからさ」
『山口君は?』
「オレ?オレは平気、隣のヤツの借りたから」
借りたからって・・・山口君いつの間に?
私が気付かない内に、そんな交渉してたとか行動早いよ。
月「・・・座れば?」
ため息混じりに月島君に言われ、私もそうだね・・・と返しながら前に進む。