第22章 終わりと始まり
終わるまでは、みんなのお手伝いをしっかりやらないと。
そう考えながらお弁当の用意をしようと鞄を開け、あっ、と思い出す。
山口君のシャツ、今朝返し忘れてたんだ。
今ちょうど昼休みだし、渡しに行こう。
影山・・・は、とっくにご飯食べ終わって寝ちゃってるか。
仕方ないから、渡した後いつもの場所に行ってのんびり食べよう。
そっと荷物を持ち、隣のクラスへと向かった。
教室の入口から、そっと中を覗くと山口君と月島君の姿は見当たらず、近くにいた人に誰かに用事?と聞かれたから2人の事を聞いてみる。
「山口?・・・さっきまではいたんだけど、どっか行ったみたいだね。戻って来たら、伝えとこうか?・・・えっと?」
『あ・・・城戸です。でも、大丈夫。放課後になったら会えるから。ありがとう』
そう告げて、その場を後にした。
全校的にお昼休みだし、教室にいなくても当たり前だよね。
そんな事を考えながら階段を降りて、折り返したところで頭上から声をかけられ上を向いた。
『あ、山口君・・・?』
窓から入る光で目を細めながらも、その2つの影で山口君と月島君だとわかる。
山「いま教室戻ったら、城戸さんが探してたって聞いたから!」
言いながら大きく手を振る山口君に少し笑いを向け、また、階段を登る。
『わざわざ追いかけてきてくれたの?さっき会えなかったから、放課後でもいいかな?って思ってたとこ』
2人の所で足を止め、それぞれに小さな袋を手渡した。
『はい、山口君。借りていたシャツと、これはほんの気持ちだけど、どうぞ?それから、月島君も。タオル使わせて貰ったから』
山「これ、城戸さんが作ったの?」
小さな袋を覗き、山口君が目をキラキラさせた。
『あ、うん。頂き物のさくらんぼがたくさんあったから、それでタルト作って・・・お口に合えばいいんだけど。じゃ、私もう行くね?』
山「え?あ、ゴメン。もしかして用事があったのに呼び止めちゃった?」
『用事っていうか、コレね』
お弁当の包みを軽く見せて笑う。
月「ポチ1人で?」
『ん~、まぁそんなとこ。いつもは影山とか日向君とか、あと菅原先輩とかとだけど。今日は誰とも約束してないし、影山はとっくに食べて寝ちゃってるから』
私がそう答えると、月島君はニヤリする。
月「ぼっち?」
『ぼ・・・今日はたまたま』