第22章 終わりと始まり
澤「もちろん。気に入って貰えるとイイけど・・・」
キレイに包装された包みを、ゆっくりと開けていく。
その包みからは、長さ10cm程のバレッタが出てきて、小さく小さくディフォルメされたクッキーやビスケットが所狭しと飾られていて・・・浮かんだ言葉が、つい口から飛び出した。
『す・・・凄い・・・』
澤「ん?」
『美味しそう!』
澤「美味しそう?!えっ?!」
澤村先輩の反応に、あっ!と口を隠すも時すでに遅く。
澤村先輩は部室のドアに手を置き、腰を折りながらゲラゲラ笑っている。
『か、カワイイですよ!もちろん!だけど、その』
澤「まさか美味しそうって言われるとは思ってなかったよ・・・ちょっと、つ、ツボに入った」
そう言って澤村先輩は笑い続ける。
『もう・・・笑いすぎですから。でも、ありがとうございます。せっかくなので付けてみます』
私は自分がいま付けている物をパチリと外し、軽く手で髪を整えると受け取った物で留め直した。
『どうですか?似合います?』
後ろ向きになって、今付けたものを見せる。
澤「うん、似合ってるよ。可愛い可愛い」
『笑いながら言われると、複雑です・・・』
私が言うと、それはゴメンと言っていろんな角度から眺めては満足そうな顔を見せた。
澤「髪の色とも合ってるし、やっぱこれにして正解だったな」
『あの、ひとつ聞いても?』
澤「ん?なに?」
『これを、澤村先輩が1人で?』
私が聞くと、澤村先輩は頭に手をやりながら、いやぁ・・・実は・・・と漏らす。
澤「昨日の帰りに店を前を通りかかった時にさ、スガから女子に人気の店だって聞いて。1人で入るのは勇気が・・・と思ったから、スガにも一緒に店に入って貰ったんだよね」
『じゃあ、菅原先輩と選んだんですか?』
澤「あぁいや、選んだのは俺だけど、後々スガに凄い尋問されて参ったよ」
『尋問?』
澤「そ。誰に渡すんだ?とか、同じ学校の子か?とか、彼女が出来たなら教えろ、とか。それはもう、取り調べ室のように」
説明される内容を思い浮かべ、思わず笑ってしまう。
『なんか、夜中に帰ってきた旦那様を追求する奥さんみたい』
私が言うと、澤村先輩もそれそれ!そんな感じ!と言って笑う。
『でも、私がこれを普段つけていたら、増々追求されてしまうんじゃ?』
澤「いいよ、追求されても」