第22章 終わりと始まり
澤「スガは誰にでも懐っこいし、スルッと懐に入れる特技があるからなぁ。でも、じゃあ俺もそう呼べばいい?えっと、紡ちゃん?って?」
『はい、別にちゃんとか付けなくて、呼び捨てでもいいですよ?その方が馴染みがあるし。ほら、桜太にぃ達も紡!とか呼びますし?』
澤「それは身内だからでしょ?俺がそんな風に呼んだら、お兄様方に怒られるって」
さすがにそれは・・・と澤村先輩が返してくるも、別に構いませんよ?と私も返す。
澤「わかった。じゃ、これからは遠慮なく呼ぶ事にする。但し俺の事も、澤村先輩って呼ばないなら、だよ?実際、俺もそう呼ばれることに慣れてないからね。みんなはは澤村さん、とか、大地さんって呼ぶでしょ?」
あぁ、言われてみれば澤村先輩を澤村先輩と呼んでいる人は確かに・・・
私と、たまに日向君、かな?
日向君は合間でキャプテーン!とか読んだりもしてるけど。
澤村先輩・・・ではなく、澤村さん?
それとも、大地さん?
いや、これはなんか・・・ちょっと、ねぇ。
『な、何だかハードルが高いですね・・・』
澤「それは俺だって同じだよ?呼ぶイメージが浮かばないなら、ちょっと呼んでみてよ?」
『分かりましたそうしてみますね?』
そうは言ってみるも、正面から堂々と顔を見ながらは呼びにくいから、少し目線を下げてみる。
『えっと・・・澤村さん』
澤「はいはい」
『じゃあ・・・だ・・・大地さん』
・・・あれ?
澤村先輩どうしたんだろう?
返事が帰って来ない事を不思議に思い、顔をあげてみると、澤村先輩は片手で顔を押さえ固まっていた。
『どうしたんですか?私なにか変でしたか?』
覗き込むようにして、というより、身長差の関係で自然とそうなってしまうのだけど、呼び方おかしかったかな?と問いかけても返答はない。
『だ、大地さ~ん?どうしました?・・・もしも~し?大地さ~ん?』
呼んでみてと言われた呼び方で、何度も呼びかけてみる。
澤「・・・ちょっとタイム。ストップ!」
ストップ?
澤「あ、あのさ、よく考えたら俺、女の子にそう呼ばれた事なかったから、結構な衝撃を受けてるところ」
『そうなんですか?後輩達みんな呼ぶって言ってたから、てっきり呼ばれ慣れてるのかと?・・・それじゃ、やめましょうか?普通に澤村先輩にしますね?』