第22章 終わりと始まり
澤「プロポーズ、ねぇ・・・でもそれがさっきのと?」
『直接的には違うんですけど、綺麗な夕焼けだなって聞いて思い出したんです。それで、普段はコートの中を動き回ってる姿からは想像出来なかったな?なんて』
いたずらに笑いを浮かべ澤村先輩を見上げてみると、澤村先輩も笑って返す。
澤「想像つかなかった、って。城戸さんから見た俺のイメージってどうなっちゃってるんだろ」
『澤村先輩のイメージ、ですか?』
どんなイメージか?と聞かれると、どう答えればいいのか迷ってしまう。
怒ると怖い・・・なんて言えないし。
物静かな・・・これは澤村先輩ではなく、どちらかと言えば縁下先輩の方が近い。
優しい・・・じゃ、ありきたりだし。
大人っぽい?は、本人が気にしてる事だったら地雷踏むようなものだし。
澤「そこまで考え込まれるとは・・・」
う~ん・・・と考え込んでいると、澤村先輩がそうこぼした。
『違うんです!どれが1番しっくり来るかなぁ・・・って考えてたんです』
澤「それで、答えは出た?」
・・・澤村先輩のイメージは・・・
初めて会ったのは体育館に日向君の落し物を届けに行った時だけど、その時はイメージも何も・・・だったしなぁ。
・・・あ!!
そうだ!!
『澤村先輩!ありましたよ、ピッタリの!!』
澤「おっ!なになに?」
『それは、カッコイイ!です!』
澤「えぇっ!ホントに?!」
ウンウンと大きく頷き、ピッタリのが見つかってよかったと自分でも納得する。
『こないだの3対3の時、澤村先輩は影山のサーブをカットしましたよね?その時の言葉が凄く印象的で、日向君もカッコイイって叫んでましたけど、実は私も同じ事を思ったんです。カッコイイなぁって!』
澤「え?そっち?!」
『え?!そっちって?!』
えっと・・・私なんか変な事でも言ったかな?
小首を傾げ、澤村先輩を覗く。
あれ、なんか赤い?
『澤村先輩?』
澤「い、いまコッチをみたらダメだ」
澤村先輩がそう言いながら、手のひらで私の目を覆う。
見ちゃダメって言われても、もう見ちゃったし。
それにしても、澤村先輩・・・あーーーっ!!
思い当たる事に思考が到達し、私の目を覆っている澤村先輩の手を剥がした。
『あ、あ、あの、ですね!さっきの変な意味ではなく、ただ純粋に思った事で、えっと』