第22章 終わりと始まり
~岩泉side~
・・・居ねぇ。
ぁんのヤロー、どこ行きやがった!
待ちくたびれたー!とかいって電話してきたくせに。
道端に座ってろって言っただろうが!
この辺りであのバカが行きそうな店は幾つかある。
が、とりあえず、だ。
さっきの着信からリダイヤルする。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
なんで出ねぇ!!
ポケットにスマホを突っ込み、バカを探しに歩き出す。
本屋・・・には居ねぇな。
CDショップに・・・ここにも居ねぇ。
マジでどこ行きやがった。
駅前広場を過ぎた辺りで、1軒の店の前で足を止めた。
この店・・・
いかにも女子が好きそうな物が所狭しと並べられた、雑貨屋・・・
何度かアイツと来た事がある。
ま、俺は中に入ることはなく、店の前でアイツの買い物が終わるのを待ってたばっかだったけど。
“ ハジメ先輩も一緒にお店に入りましょうよ?ね? ”
「男がこんなキラキラした店に入れっかよ!」
“ だーかーら!私が一緒にいるんだから大丈夫ですって!それに、かわいいパンダの商品がたくさんあるんですよ? ”
「俺がかわいいパンダ眺めてどーすんだよ」
“ えぇー。ハジメ先輩とお買い物したいなぁ・・・ ”
「うるせぇ、そのうちな、そのうち!」
・・・結局、そのうちなんてのは、来なかったけどよ。
今更ながら、1回くらいアイツに付き合って店に入ってやればよかったな。
もう、どうにもなんねーけど。
今頃・・・どうしてんだろうな・・・
あんな風に別れてから、1度も会ってねぇし、連絡さえ取ってねぇ。
ポケットからスマホを出し、おもむろにアイツの連絡先を探し出す。
〖 紡 〗
ただ、名前だけで登録してある、他のやつとは違う連絡先。
それはあの頃のままで、何も変わってはいない。
・・・もしもいま連絡したら、アイツは着信に出てくれるんだろうか・・・
そっと、指先を通話ボタンの上に移動させる。
いや待て。
俺にはそんな資格なんかねぇだろ・・・
ホーム画面に切り替えて、また、ポケットに突っ込む。
何考えてんだ、俺は。
何気なく、空を見上げながら小さく息を吐いてみる。
アイツもどこかで、この空を見ているんだろうか。
・・・行くか・・・
そう歩き始めた時、腕に軽く衝突を受ける。