第22章 終わりと始まり
ホントにホントに、紡ちゃん・・・だよね?
中学の時とは全然違ってしまった見た目に驚きながらも、その姿さえ可愛いさ1000%だ!なんて思ってしまう。
『ホントにありがとうございました・・・じゃあ私はこれで・・・』
及「紡ちゃん待って!」
それだけ言って立ち去ろうとする紡ちゃんの腕を掴み、オレの正面に体を向けさせる。
あれ・・・そう言えば前の時もこんな感じで紡ちゃんを捕まえた気がする。
そう思いながら、今の紡ちゃんの姿をジッと見ていた。
この制服、どこかで見たような・・・
『あの、ちょっと・・・』
そうか!烏野か?
「・・・その制服、烏野だね?紡ちゃん、烏野に行ったんだ?」
オレがそう聞くと、紡ちゃんは黙って頷いた。
「どうして烏野に?紡ちゃん、いろんな所から推薦来てたんじゃないの?!もちろん青城からも。あのクリスマスの日に参考書なんて買い込んでるから変だなとは思ったけど、なんで?バレーは?!」
口を開けば聞きたいことが次々と出てしまい、それが紡ちゃんを寡黙にさせてしまう。
「紡ちゃん?どうして黙ってるの?」
紡ちゃんの両肩に手を乗せ、屈むように顔を見た。
『烏野は・・・推薦全部断って自分の意思で、入りました』
ようやく紡ちゃんから出た言葉は、更にオレを驚かせた。
「・・・じゃあ、バレーは?烏野でバレー続けてるの?」
『バレーは・・・やっていません』
バレーは、やってない?!
どういう事なんだ?!
「・・・バレー、辞めちゃったの?あんなに一生懸命やってたのに!なんで?!」
『バレーは・・・もう、いいかな?って・・・何かいろいろ他にもやりたい事、あったし・・・』
バレーはいいかな?って、何?
他にやりたい事って・・・何?
紡ちゃん、あんなにバレーが好きで一生懸命で・・・
なのに、バレーはもういいって・・・
まさか・・・ね・・・
オレの中で、バレーをやめてしまう程の理由が1つ湧き上がった。
「もしかして・・・だけど。その、岩ちゃんの事が・・・あったから?」
岩ちゃんの名前を出すと紡ちゃんは瞬きを繰り返した。
『その質問には、お答えできません・・・』
「じゃあ、他にやりたい事ってなに?」
『それも、お答えできません・・・』
お答えできませんと繰り返す紡ちゃんは、オレから視線を外す。