第22章 終わりと始まり
~及川side~
整形外科の帰りに、ふと思いだして紡ちゃんに電話をかけた。
どこの高校に通ってるのか知らないけど、放課後だったら待ち合わせして・・・とか思ったのにさ。
アッサリ断られ。
仕方なく岩ちゃんに連絡して、待ち合わせる事になった。
明日練習試合あんだから、ブラブラしてんじゃねぇ!とかブツクサ言われたけど。
今日はうちの親いないし、夕飯一緒に食べようと強引に誘ったら、そんじゃ仕方ねぇと了解を貰ったけど・・・
岩ちゃん遅いよ!!
待ちくたびれて、スマホを取り出し電話をかける。
「あ、岩ちゃん遅い~!今どこ?」
« うるせぇな!今さっき家出てむかってるとこだよ »
「今さっき出たの?!」
« さっきの電話の時、シャワーしてたんだから仕方ねぇだろが! »
「待ちくたびれたー」
« 知るか!その辺の道端に座って待っとけ! »
・・・切られた。
今さっき岩ちゃん家を出たって事は、普通に考えても20分はかかるじゃん。
ずっとここにいるのも飽きてきたし、時間までプラプラしてこよっと。
さて、どこに行こうか?
そう思いながら歩き始めた。
少し歩くと、前に紡ちゃんと来た事がある雑貨屋の前を通りかかる。
オレはその時の事を思いだして、足を止めた。
その店内はあの時と変わらず、女の子たちが商品を手にしては何だかんだと会話を楽しんでいた。
あの時の紡ちゃん、長い髪をふわっふわに巻いてて可愛かったよな・・・
いや、可愛いのはいつもなんだけどね。
とにかく凄い可愛かった。
岩ちゃんとデートの約束でもあるのかと思ったくらいオシャレしててさ。
・・・でも。
それは岩ちゃんの為じゃなかった事が後で分かったんだけど。
今頃、どうしてるんだろう。
さっきの電話では元気そうなのは分かったけど、実際には随分と会ってない。
もしかしたらさっき、忙しいって言ったのは部活中だったとか?
それならオレの誘いを断られても仕方ないよね。
うん、きっとそうだ!
勝手に自己完結して、また、歩き出す。
どうしよう、どこで時間潰そう。
ちょうどドラッグストアの前を通りかけた時、店の入口に貼り出されているチラシに目が止まる。
へぇ、今日は粉末ドリンクがいつもより安いのか。
家に在庫はまだあったけど、どうせ毎日使うし、安いなら買い置きしても?