第22章 終わりと始まり
及「なんで君まで驚くのさ」
澤「あ、いや、つい・・・」
及「紡ちゃん、もしかして新しい彼・・・とか?」
及川先輩が澤村先輩をチラッと見て私に問い詰める。
『ち、違います!澤村先輩はそういうんじゃありません!ただの先輩です!』
澤「そんなハッキリ否定されるのも・・・」
『え?あ、すみません・・・』
思わず声を大にして言うと、澤村先輩が苦笑していた。
及「ま・・・」
『ま?』
及「まさかと思うけど、飛雄とかじゃないよね?!違うよね?!」
『違います!影山でもありません!って言うより、ハッキリ言いますけど彼氏なんていません!』
及川先輩がどうしてそれに拘るのか知らないけど、とにかくそんな存在は影も形もないことは伝えた。
及「オレ、立候補しちゃうよ?いいよね?」
私の肩にスルリと手を回し、耳元で囁く。
『知りません。とにかくそういうのは今はいいんです・・・もぅ・・・置いてかれるのは・・・嫌だから・・・』
及「・・・!」
澤「・・・!」
言ってしまった後に、ハッとした。
『ごめんなさい。今のはナシで・・・及川先輩、私達は先を急いでるので失礼します。澤村先輩、行きましょう・・・』
及「あ、ちょっと紡ちゃん!」
吐き捨てる様に言って澤村先輩の腕を引き、レジまで急ぐ。
会計の際も及川先輩がこっちに来ないか気になったけど、もしも振り返って視線が合って気まずくなるのを想像して振り返るのをやめた。
買い込んだ商品が多かったせいで、袋に詰めてくれる時間がかかっていたけど、それも終わると何より先に受け取り、澤村先輩の背中を押すように足早に店舗を出た。