第22章 終わりと始まり
ドラッグストアに入ると2人で買い物リストを確認し、売り場もバラバラだし量もあるから手分けして買い集める事になった。
『テーピングや冷却スプレーは普段みんなが使う種類とかあると思うので、澤村先輩お願いします。私は粉末ドリンクと絆創膏を見てきますね』
澤「了解。じゃ、俺は目的の物を確保したら城戸さんの所に行くから粉末ドリンク売り場で待ち合わせね」
そう言ってお互い違う方向に歩き出す。
粉末ドリンク売り場で待ち合わせだから、先に絆創膏からにしようと売り場へ向かい、サイズ違いの物をメモを見ながらカゴに入れた。
後は粉末ドリンクか。
売り場へ付き、棚から箱を数えながらカゴに入れる。
あ、1個足りない・・・
数え間違いがないかカゴの中を確認するも、やはり1箱足りない。
どうしよう、帰りにもう一軒立ち寄るにしても荷物が多いし。
在庫とか、ないかな?
棚の上のスペースを見上げると、陳列しきれなかった分の商品が乗せてある。
あった!!
普通に手を伸ばしても全然届く気配すらなく、出来る限りの背伸びをしても、指先が触れる程度にしか届かない。
『と、届かない・・・』
ポソっと呟き、もう1度つま先立ちになって背伸びをしても、それは変わらなかった。
これは澤村先輩が来るのを待って、取ってもらうしかないな・・・
そう、思い始めた時。
« これを取ればいいの? »
クスクスと笑いながら、誰かが箱を1つ取ってくれた。
『あ、すみません!ありがとうござ・・・』
振り向きながら言って、その声の主を見て言葉が途切れた。
『及川・・・先輩・・・』
私が名前を呟くと、 及川先輩も私を凝視して固まっていた。
及「えっ?・・・えぇっ?!・・・紡ちゃんなの?!」
名前を呼ばれ、黙って頷く。
及「えっと、とりあえずコレ。はい、どうぞ?」
そう言って粉末ドリンクの箱を手渡された。
『ありがとうございます。届かなくて困ってたので、助かりました・・・』
受け取ったまま、箱を両手で包む。
『ホントにありがとうございました・・・じゃあ私はこれで・・・』
何となくその場に居づらく、早く立ち去ってしまおうとカゴを掴もうとした。
及「紡ちゃん待って!」
及川先輩はカゴを掴もうとする私の腕を捕まえて、自身の方へ私の体を向けた。
『あの、ちょっと・・・』