第22章 終わりと始まり
頭を掻きながらカートを押す澤村先輩に思わず笑ってしまう。
『いいですよ?機会があったら、是非ご馳走しますから』
澤「本当に?!」
『その時があったら澤村先輩の好きな物を教えてくださいね?』
澤「好きな物かぁ・・・なんでも!」
そんな会話を楽しみながら、お菓子売り場に到着する。
清水先輩は青城は人数多いからって言ってたけど、どれくらいの量を買えばいいんだろう。
及川先輩に聞けば話は早いけど、でも今はそれをしたくはない。
澤「清水に何を買ってこいとか言われてる?」
『いえ、お菓子のチョイスは任せる、とだけ。それから、向こうは多人数だから多めにとも言われてます。どれくらい買えばいいですか?』
澤「そうだなぁ、大会の時に応援席にも部員が沢山いるのを見た事があるけど・・・」
腕組をして、澤村先輩がう~ん・・・と考え込んでいるのを見て、私も何となく売り場の棚を眺める。
箱に入っている物だと、持ち歩くのにもかさばるし・・・
せめてゴミもあまり出ず、かさばらないものがいいかな?位しか思い浮かばない。
澤「ねぇ?今日の練習の時に城戸さんが配ってたヤツ、この店にある?」
『あのチョコですか?ありますよ?ここのお店で買ったものですから』
そう言って私は昨日見かけた棚まで案内し、コレです、と手に取る。
澤「これならたくさん入ってるし、城戸さんからの味のお墨付きはあるでしょ?」
澤村先輩にそう言われ、ニコリとする。
そして2人で大体の数を想定して、足りないより多い方がいいよねと話しながらカゴへと入れる。
行列になっているレジに並び、やっとで会計を済ませると、私達はドラッグストアへ向けて歩き出した。
澤「まさか城戸さんがエコバッグを持ち歩いてるとは思わなかったよ。あと、ポイントカードも」
先ほどのレジでのやり取りを思い出しながら、澤村先輩が笑い出す。
『そんなに笑わないで下さい・・・つい、条件反射で出しちゃったんですから。あのお店はエコポイント付けてくれるからお得なんですよ?』
澤「今から節約術とか、城戸さんは将来いい奥さんになれるね」
『貰い手があれば?ですけどね~。だってもしもそんな日が来たら大変ですよ?旦那様になる人は桜太にぃと慧太にぃを倒さないと!』
ガッツポーズをして言うと、澤村先輩は、それは大変だと更に笑った。