第22章 終わりと始まり
『もういいです。聞かれてしまった事は、今更何もなかった事にはならないし、だから、もういいです』
それだけ言って自分の仕事に戻ろうと歩き出す。
日「結局、城戸さん誰とデートするんだ?」
菅「バカ、日向やめろ!」
背後から聞こえてくる言葉に、ピタリと足を止め振り返る。
『・・・そんなに知りたいの?』
日「・・・!!」
菅「つ、紡ちゃん!笑顔が怖いよっ!」
『そうですか?用がないなら仕事に戻りますね』
なぜかビクビクする日向君を横目に、私は本来やろうとしていた仕事に戻った。
清水先輩に時間がかかってしまったを謝ると、部員達の一部始終を見ていたのか、城戸さん大人気みたいだから大変ね?ってクスクス笑っていた。
それからはさっきの時間を取り戻す様に、覗き見をしていたメンバー以外とは質問したり指示を受けたりと会話をしながら残りの仕事を片付けた。
清「城戸さん、これが買い物リストなんだけど一緒に確認して?」
そう声を掛けられ、清水先輩が書きまとめたリストを受け取る。
ドリンクの粉末10箱に、冷却スプレー2本、冷却ジェル4個、絆創膏2種類、テーピング、それから・・・お菓子。
・・・ん?
お菓子?
『清水先輩、お菓子・・・って?』
清「あ、それは明日の持ち物で必要なの。例え試合数が少なくても相手の学校にお邪魔するから手土産に。チョイスは任せるけど、青城は人数多いから多めに買ってもいいかと思う」
『なるほど・・・お菓子は多めに、っと』
買い忘れや買い足りない物が出ないように、清水先輩から言われた事をその場でリストに書き足した。
テーピングなんかは、サイズの指示まで書いてあり、それを数本ずつともなれば全体的に結構な買い物量にもなる。
『こう見ると、たくさん買い物しなきゃですね』
リストを見ながら清水先輩に言うと、1人じゃ大変だから、帰りに一緒に行きましょうと提案される。
でも確か・・・
『あの?清水先輩のお家って、烏野からは近いけどこれを買いに歩くとしたら凄い遠回りになりません?』
清「でも、さすがにこれだけの買い物だから、城戸さん1人に行かせるわけにも行かないから」
『でも・・・それじゃ清水先輩が』
そう言いかけた時、清水先輩がニコッと笑った。
清「ちょっと待って、荷物持ちに最適な人材がいるから・・・澤村!ちょっと来て」