第22章 終わりと始まり
だから、という訳じゃないけど。
及川先輩1人を応援するなんて到底出来ないし、するつもりもない。
『あの、声を掛けてくれたのは嬉しいんですけど。明日は都合が悪くて及川先輩の応援は出来ません』
« えぇー、残念だなぁ。あの生意気な飛雄をカッコよく倒す所を見せたかったのにぃ! »
『とにかく、お誘いにはお答えできませんから・・・』
« 都合が悪いんじゃ仕方ないか・・・でもさ、この次はオレと、デートしてね? »
『デートはしませんってば!及川先輩が大好きで集まってくる女の子と、好きなだけデートしてください。じゃ、そういう事で』
« むぅ~。紡ちゃんがデートしてくれるまで諦めないからなぁ~ »
そんなやり取りをしながら、通話を終えた。
はぁぁぁぁ・・・
何だか今ので凄い疲れた気がする。
明日の青城・・・ますます行きにくい・・・
もう1度大きく息を吐いて、さ!気持ちを切り替えて仕事終わらせなきゃ!と振り返る。
『ぅわあっ!!み、皆さん何してるんですか?!』
振り返って1番最初に視界に飛び込んで来たのは、体育館扉から顔だけ出してコッチを見ているメンバー・・・
まぁ、澤村先輩や縁下先輩、月島君と山口君は、そんな事はしていなかったけど。
それにしても、それ以外のメンバー揃って立ち聞き?盗み聞き?って言うのは、どうなんだろう。
『分かってはいるけど、一応お伺いしますね・・・なに、してるんですか?』
いつもより静かに、そしてゆっくりと言葉を吐き出す。
菅「オレは、やめた方がいいって言ったんだけど・・・」
バツが悪そうに菅原先輩が頬を掻いた。
『でも、菅原先輩も聞いてたんですよね?だったら同罪です。だいたい、何でそんなに気になるんですか?別にこれといって何もない個人的な会話ですよ?』
菅「いや、まぁ、相手が相手だったし。・・・デートとか言ってたから、つい」
田「スガさん、電話の相手知ってんスか?」
菅「え?あぁ、まぁ、直接的には知らないんだけどね。影山がどうとか言ってたし、ちょっと気になっちゃったのは事実かな・・・」
事の発端・・・というか、最初に私が大きな声を出していなければ、そもそもこんな風に聞かれることもなかったんだとも思う。
なんか、少し自己嫌悪。
何となくモヤっとしながら、これ以上はこの話題はやめようと思った。