第22章 終わりと始まり
『わかった、ちょっと待ってて?』
そう言い残し、城戸は自分の手荷物の所に行った。
別にホントに腹減ってる訳じゃないし、甘いモンが食いたい訳でもない。
山口と月島と、なんか楽しそうにしてた城戸を見て・・・モヤモヤするっつうか、イライラするっつうか。
ハァ・・・
何やってんだ、俺は。
ため息をついていたら、何か言いたそうな山口と目が合った。
「なに?」
山「えっ?あ、あのさ!練習の合間に甘い物食べるとか、気持ち悪くなったりしないの?」
何でそんなにオドオドしてんのか分かんねぇけど。
練習の合間になんか食っても、別に気持ち悪くなった事なんてねぇしなぁ、全く。
「別に?山口はなるのか?」
山「オレ?・・・その時々・・・かな」
「へぇ・・・」
・・・今ので会話終わりかよ!
もうひと言なにか話そうと山口に向き合うように立つと、タイミングが良いのか悪いのか、城戸が戻って来た。
『おっ待たせ~!ジャーン!』
目の前に突き付けられ、距離が近すぎて何があるのか全く見えない。
「近ぇよ!前見えねぇだろ」
そう言って1歩後ろに下がり、城戸が俺に掲げているものを見る。
「あのチョコシリーズが・・・ミニサイズになって、新登場・・・?大判袋タイプでみんなでパーティして、ね?」
『美味しそうだったから、昨日買っちゃった!』
城戸は凄いいいもの見つけた~と言うかのように、ニコニコしている。
「買っちゃった!じゃねぇよ!お前1人でこんなん食ってたら、縦に伸びずに横に伸びるだろ!」
『あー!!そういう酷いこという影山にはもうあげないからね!』
そう言って城戸は大袋を開け、中からひとつチョコを取り出して俺に見せびらかす。
「なんでだよ!」
『だめデース。これは山口君にあげまーす。って事で、はい山口君、アーンして?』
小袋を開けチョコをつまみ、それを背伸びして山口の口元へと近付ける。
山「あ、ちょ、ちょっと城戸さん?!」
『いいからいいから、プレイヤーが手にチョコついたらマズイでしょ?』
待て待て待て!
マズイのは城戸、お前のその行動力だ!
山「い、いや、ついたら洗うし!その・・・」
『は~や~く~!チョコ溶けてくる~』
山口は抵抗したものの、城戸に押し切られる形でそのチョコを食べた。
『美味しいでしょ?オススメ味なんだ!』