第22章 終わりと始まり
菅「いいよ、影山。ほら」
「え?」
菅原さんが自分のを俺に向けた。
菅「飲んでみ?」
そう言われ受け取って、ひと口貰う。
やっぱり日向のと違う。
菅原さんのは、どっちかっていうと俺のと近い。
菅「そこまで考えてくれるとか、ホント、明日でマネージャー補佐が終わるかもって思うと寂しいよなー」
アイツ、こんな気配りとか、バカだろ。
自分で自分の仕事増やしてんじゃねぇのか?
何気なく城戸の姿を探して振り返る。
・・・なっ?!
何してんだアイツ!!
何で山口に手を引かれてんだよ?!
日「あ~!また山口のヤツ城戸さん独り占めしてる!」
2人の姿はステージ前で止まり、山口が手を掴んだまま何やら話している。
何やってんだ?
つうか、昨日といい今日といい、山口のヤツ、侮り難し。
ひとつ息を吐き、また日向達と話し出した。
日「あれ?月島まで城戸さんのとこにいる」
月島?
日向がそう言ったから、俺も何となくそっちを見る。
月島がほぼ一方的に何か話して、城戸が合間になんか言ってる?
昨日の1件とは違い、笑い声さえ聞こえる。
・・・なんか、イライラしてきた。
山口も月島も、何であんなに城戸とくっ付いて話してんだ!
月島も月島だ。
昨日あんな事があったのに、手のひら返すように態度変えやがって。
考えながら、俺は3人の方へと歩き出した。
話が終わったのか、月島がこっちに歩いて来る。
すれ違い様に俺と目が合うと、月島はフッと鼻で笑い、そのまま通り過ぎた。
今の笑い、なんかスゲー腹立つ。
俺はそのまま進み、こっちに背中を向けた山口の後ろに立った。
「おい城戸」
山「うわぁっ、ビックリしたっ」
「はぁ?」
俺は城戸を呼んだのに、何で山口が驚いてんだ?
『山口君ビックリし過ぎだよ』
「いやだって、急に現れたから・・・」
急に現れたって、俺は何者だよ。
『そっか、山口君、背中向けてたしね?私は影山が来るの見えてたから』
城戸はそう言って山口に笑いかける。
『で、影山の用事はなに?』
「あ?あぁ。城戸、なんか甘い物持ってねぇ?」
『甘い物?影山が甘い物欲しいとか珍しいね?』
「っせぇ、脳みそ使うと腹減るんだよ!何かあるか?」
『う~ん、なくはないけど?チョコくらいなら・・・それでいい?』
「それ、くれ」