第22章 終わりと始まり
~影山side~
菅原さんが休憩の声をかけ、ホッと息を付く。
清水先輩と城戸がみんなにスクイズを配り歩いて、それは俺達の手にも渡された。
日「あちぃ~!まだ春なのに暑いとかなんでだよー!」
菅「あはは、日向はそんな事を言いながら元気だなー」
「お前、その元気をレシーブにも配分しろよ」
スクイズに口を付けながら日向に釘を刺す。
コイツの体力、どうなってんだよ。
あんだけスパイク打ち込みながら、まだまだ元気有り余ってるとか、有り得ねぇ。
日「か、影山だって同じだろ!ずっとトスあげてるだけで汗だくじゃんか!」
「あぁ?!セッターは全員分休みなくトス上げてんだ!日向のヘタクソレシーブと一緒にすんな!」
俺が一喝すると、日向は即座に菅原さんの後ろに隠れた。
菅「まぁまぁ、2人ともそんくらいにしとけ?休憩時間にムダな体力使うな?」
菅原さんに言われると、もう黙るしかない。
菅「それよりさ、このスクイズの中身、気づいた?」
菅原さんがそれを掲げ、俺達に向けてユラユラと揺らす。
「中身?ですか?別に変わりはないんじゃ」
言われてみて、もう1回飲んでみたけど特に変わりなく感じる。
菅「影山も日向も分からない?オレは昨日の後半から、何となくだけどアレ?って思ったよ?」
そんな、普段から味わって飲んでるんじゃないから、よく分かんねぇよ。
日向を見れば、スクイズを握りしめながらウ~ン・・・と唸ってる。
菅「ま、オレも清水から聞いて、なるほどねって思ったんだけどさ。この中身、全員味の濃さとか調整してあるんだって」
そう言いながら菅原さんは口を付けた。
「はっ?全員って、個人個人ですか?!」
菅「正確には違うけど、まぁ、そんな感じ?清水が言うには、紡ちゃんがみんなのスクイズの残り具合いに気がついて、それでやってみようか?って話になったんだって」
1人ずつ、味が違う?
どういう事だ?
「日向、それよこせ」
日「え?あ、おいっ!」
日向の返事を待たずにスクイズをひったくり、ひと口飲んでみる。
甘っ、味濃い!
もう1回、自分のを飲んでみる。
・・・違う。
明らかに俺のと日向のは違う。
・・・じゃあ、菅原さんのも?
あ、いや、さすがに菅原さんのをひったくるわけには・・・いかないよな。