第21章 背中合わせの2人
「あぁ・・・」
今のは間違いなく、城戸だ。
山「なんか、誰かと揉めてる?っていうか、もう1人はツッキーの声?」
はぁぁ?!
月島だと?!
あの2人まだ何か揉めてんのかよ!
様子を見に行こうと扉に向かおうとすれば、ひと足早く澤村さんが扉の前に向かっていた。
澤「お前達いつまでもうるさいぞ!」
『うきゃぁぁぁぁぁぁ!!!』
月「ちょっ・・・」
澤村さんが扉を開けながら声を張ったせいで驚いたのか、城戸のひと際大きな悲鳴が体育館の中まで響き渡った。
澤「おいおい・・・そんなに驚かなくても・・・」
あまりの悲鳴の大きさに、澤村さんも驚いている。
『・・・あ、あは。さ、澤村・・・先輩・・・び、びっくりした・・・』
澤「俺もまさか扉の前にいるとは思ってなかったから、驚かしてゴメン。それより2人とも、随分と仲良くなれたみたいで・・・その、良かったよ」
随分、仲良くって・・・どういう事だ?
今さっき何か揉めてる感じだったのにか?
澤村さんの背中に隠れた向こう側が見えず、俺は少し場所をずらして覗いた。
・・・な、なんだあれは!!!
澤村さんの登場に驚いたとしても、何でアイツは月島に抱きついてんだ?!
それも隙間なくピッタリと!!
月島自体は、城戸にそうされながらも片腕でそれを受け止め、逆の手を壁に付いて自分をささえている。
周りを見れば、さっきの城戸の悲鳴から、全員がそれに釘付けになっている。
田「なんだアレ?月島とお嬢、どうなんってんだ?」
縁「・・・さぁ、俺に聞かれても」
周りがそんな事を行ってる間にも、月島と何やら言い合いになっている。
澤村さんもそれには呆れた様子で、大きなため息を吐いている。
『うきゃっ、落ちるっ!!』
どういう経緯か分かんねぇけど、1度離れた体をまたも月島にしがみついている。
月「離せって言ったから」
『落ちるの分かってるのに離さないでよ!』
月「それにあの悲鳴、色気の欠片も何もない。しかも2回とも」
城戸の怒りの反論に、月島は淡々とした口調で返す。
色気の欠片もない・・・って、それは確かにそうだったが・・・
『失礼ねぇ!ビックリしたんだから仕方ないでしょう!』
月「あ~うるさい。小さい犬がキャンキャン吠えて何言ってるか分かりまセーン」
『また犬とか!』
犬?
なんの事だ?