第21章 背中合わせの2人
いったい、いつからあの場所にいたんだろう。
でも、そんな事を聞けるわけない。
もし、また怒らせてしまったら・・・。
そう思うと、聞けない。
武「さて、月島君は城戸さんの言葉を聞いて何か感じましたか?」
先生は無意識なのか意図的なのか、ニコニコした顔を崩すことなく月島君にとんでもないことを言い出した。
月「・・・別に」
武「そうですか?城戸さんはとても大事な事を話しているように僕は感じましたが?」
ちょっと待って・・・。
私さっき、先生しかいないと思って結構凄い暴露話しなかったっけ?!
月島君が羨ましい、とか。
ブロックがカッコイイんです、とか。
わ、わわわ・・・。
どうしよう、どこら辺から聞かれてたんだろう?!
『つ、月島君?・・・どの辺から、聞いちゃって・・・た?』
恐る恐る見上げ、月島君に聞いてみた。
月島君はそんな私をチラリと見て、フイっと横を向いてしまった。
月「・・・さぁね?」
さぁね?って。
頭を殴られたかのような衝撃に襲われ、クラリと目眩がした。
も、もし、あの事を聞かれてたら。
私、メチャクチャ恥ずかしい人じゃん!!
熱くなる顔を両手で隠すと、体中から力が抜け落ち、その場にストンと座り込んだ。
武「わっ、城戸さん大丈夫ですか?!」
急に座り込む私を心配してか、先生も横に膝を付き私の体を支えた。
『先生・・・ヒドイ。私のこと、騙してたんですね・・・信じてたのに・・・』
顔を隠したまま、そう漏らした。
武「えっ?!あ、あの、城戸さん?!他の人が聞いたら誤解されるような言い方はやめましょうよ・・・」
『先生、2回も黙ってるなんて酷すぎます・・・今度そんな事したら、先生と絶交しますよ!卒業までに担任とかになっても、口もきかないからっ!』
武「えぇっ?!絶交は嫌だなぁ・・・しかも卒業するまでとか・・・」
月「絶交するとか、小学生・・・」
月島君までもそんな事を言い始める。
『月島君も、その、さっきのは聞かなかったことに・・・』
月「はぁ?・・・それより、いい加減立ちなよ。この構図、僕がいじめてるみたいデショ」
素っ気なく言って、月島君が腕を引いて立ち上がらせた。
そんな2人を武田先生も立ち上がりながら見ていた。
武「あなた方2人は、まるで磁石の様ですね」