第7章 嵐の足音
渡された金額が多すぎると思った私は、思わず慧太にぃに返してしまった。
慧「いいから持ってけって。参考書だっていくつも買ったらお前の小遣いパンクするぞ?」
『でも、こんなに貰ったら慧太にぃのお金が減る・・・』
そこまで言いかけると、頭をガシッと鷲掴みされた。
慧「お前ねぇ、オレはこれでも社会人なんです~。カリスマ美容師の給料ナメんなよ」
そのまま頭をグリグリされたので潔く降参し、有難くお金を受け取る事にした。
参考書買ったら、お釣りはちゃんと慧太にぃに返そう・・・
そんな事を考えながら、グリグリされて乱れた髪を手ぐしで直していると、せっかくクリスマスだからと言われ、リビングで髪をセットされる事になる。
別段急いでいたわけでもないし、何せ機嫌よく鼻歌など歌いながら髪を巻いたりしている慧太にぃを見ていて楽しかった。
慧「はいっ、でっきあっがりィ~。ん~、可愛い可愛い!」
合わせ鏡をして、髪型の全体図を見せられる。
普段から背中の中ほどまで伸ばしてるロングストレートの髪は、慧太にぃの手によってふわっふわに巻かれセットされていた。
私が思うのもなんだけど、彼女も作らずここまで妹に尽くす兄というのも・・・果たしてそれで大丈夫なんだろうか・・・
そして、このふわふわ巻き巻きの髪型で、ウッカリ生徒指導の先生にでも出くわしてしまったら・・・
いやいやいや、この際せっかくだから楽しい事だけ考えよう。
フルフルっと頭をふり、もう一度支度をすると慧太にお礼を行ってから外へ出かけて行った。
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あとから思い返せば、私はこの時、外出などしなければ良かったのかも知れない
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