第7章 嵐の足音
家族に思いを打ち明けた日から、早2週間あまり。
私は毎日学校帰りに図書館詰めをして、勉強・勉強・勉強の日々を送っていた。
それも冬休みに入ると、わざわざ図書館まで出向かなくても部屋に引きこもり机に向かう日々に変わっていった。
ふと、カレンダーに目をやる。
今日はクリスマスかぁ・・・
外出する事もなく、ずっと毎日引きこもり生活をしていたもんだから、世間一般様がクリスマス一色に変わっているのも気付かずにいた。
あまり部屋に引きこもってばかりいても不健康かな?と思った私は、気分転換に外に出ようかと支度を始めた。
桜太にぃが、今日は仕事も夕方には終わるから、父さんたちはいないけど夕飯は外で食べようと言っていた事を思い出し、ちょっと出かけるというLINEだけ送ると、
〖 おっけー。時間が合うようだったら、そのまま待ち合わせでもしよう〗
と、すぐに返事が来たので、私もそれを了承した。
支度を終えて部屋を出ると、そこには慧太にぃが自分の部屋のドアに腕を組んで寄りかかっていた。
慧太にぃとまともに会うのは、あの日以来だった。
慧「・・・よぅ・・・」
『慧太にぃ、あの、あのねっ・・・』
少し構えながら言うと、慧太にぃは私の頭をポンッとすると穏やかに笑った。
慧「なぁに身構えてんだよ。」
『あ、えっと、だって・・・』
慧「桜太からいろいろ聞いた。別にオレは怒ったりしてねぇし、お前が決めたことなんだから応援するし。ただ、桜太からも言われたかもだけどよ、勉強は~」
『あぁ~、分かってる!分かってますから~!』
慧「ならオッケーだ。」
久しぶりな慧太にぃの軽口が嬉しかった。
そして身支度された私の姿を見ると、どっか出かけんのか?と聞かれたから、気分転換にちょっと街を徘徊するっていうと、
慧「徘徊って、お前は年寄りか」
と笑った。
暗くなったら危ないから一緒に行こうかと言う申し出に、そこまで子供じゃないから大丈夫だよっと返して笑った。
慧「お前の事だから、街を徘徊って言っても書店で参考書買ったり、何だかよく分からん雑貨眺めたりすんだろ?」
そう言うと、ちょい待ちと言って部屋に入り、すぐに出てくると、私に参考書とか買うならこれで買えと5千円札を手渡した。
『えっ!こんなにたくさんいらないよっ!みんなから毎月お小遣い貰ってるし』