第21章 背中合わせの2人
その後、正面からありがとうと言われ、素直に受け取れない僕はまた、嫌味を返してしまう。
そんな様子を山口はオロオロしながら見ていた。
*****************
・・・あのとき初めて、女の子の感触を知った。
小さいって言うのは見れば分かる。
だけど、この腕に感じた柔らかさと、ちゃんと食事してるの?と聞きたくなるような、軽さ。
女子って、みんなこうなのか?
そう思っても、他の人を知らないから比べようがない。
小さいから、山口のシャツを着てもあんなにブカブカで・・・
・・・そうだ、なんで山口のシャツを着てるんだ。
山口達がお昼の時、それに気がついた。
オマケに山口に甲斐甲斐しく食べさせたり、そうかと思えば、もっと寄りかかって欲しいとかいう話をしていた。
更にいえば、その後。
田中さんから奪い返した山口の頭を抱えるとか、何なんだよ。
・・・なんで山口のケガに気がついた?
・・・なんで山口のシャツを抵抗なく着てる?
・・・なんで山口に付きっきりなんだよ?
なんで・・・
何で・・・
ナン・・・デ・・・・・・・・・?
・・・!!!
・・・ナンデ ボクハ コンナニ カノジョノコトバカリ カンガエテルンダ・・・
ハッと我に返り、思わず手を握りしめた。
イライラする原因は、誰のせいでもない。
僕の中に、渦巻いていたのか・・・。
理由が分かったら、それはそれでイライラが募る。
なんで僕が、城戸さんに心を乱されるんだ。
ハハッ・・・と乾いた笑いを漏らす。
その視線の先には、山口のシャツを着て、その裾を翻しながら作り直したドリンクを配り歩く、城戸さんの姿があった。
なんで・・・僕が・・・。