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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第21章 背中合わせの2人


サラリと言われた事に、思い切り振り向いてしまう。

桜「紡は、セッターとしての仕事云々を誰かに教わった時に言われたって。セッターの仕事は自チームのメンバーだけでなく相手チームの選手の事も見えてこそ、初めて成り立つんだって」

「セッターとしての仕事・・・」

桜「そう。例えば影山君。セッターとしての技術は確かな物があるかも知れない。けど、それはまだ、自分の意識だけでの動きもあると思う。相手を見て合わせるんじゃなく、自分に合わせさせているとかね」

確かに桜太さんが言っている事は分かる。

桜「菅原君は、彼とは違うタイプでしょ?トスを上げる度にひとりひとりに声を掛けて調子を見てる、とか?それは彼がここで培ってきた信頼関係にも比例してるとかね」

ほんのすこしの時間で、こんなにもたくさんの情報収集が出来るなんて。

改めて桜太さんの観察眼は凄いんだなと思い直す。

桜「練習試合は、試合の練習なんだからメンバーはいくらでもチェンジする事は出来る。でも今は、そのメンバーがベストだと思ったから澤村君はそうしたんでしょ?だから、主将失格じゃない。ケガの事もね。たまたま紡が澤村君より先には気がついてしまっただけ」

「なんか、桜太さんにそう言われると・・・まだまだ頑張れるぞ!という気持ちになります」

そう言って笑うと、桜太さんも笑ってくれた。

桜「ところでさ、さっき気になったんだけど。紡はどうしてあんなに大きなシャツを?」

清水と一緒に仕事をしている城戸さんを見て、桜太さんが俺に問いかけてくる。

確かに妹が突然サイズ違いのシャツを着ていたら、疑問も浮かぶだろう。

「あれは確か、城戸さんが桜太さんに電話をした後で、お昼を食べる用意をする時に山口が貸したようです。えっと、替えのシャツが無くて困ってたようだから、とか?」

小柄な城戸さんが山口のシャツを着ている姿は、ホントにブカブカで、大人のシャツを子供が着ている・・・などと表現したら、城戸さんは怒り出すんだろうが。

でも、その姿さえ可愛らしく思えてしまうのは、俺だけではないハズだ。

桜「なるほど、だからか。間違えて俺や慧太のシャツを持って来たのかとも思ったけど、俺達の持ち物ではないし、どうしたんだ?って。でも、紡のあんなに姿を見ると小さい頃を思い出すよ」

そう言って桜太さんはとても優しい顔をして城戸さんを眺めていた。
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