第21章 背中合わせの2人
中学の時はマネージャーなんていなかったから、個人の飲み物は各自で作っていたし、私なんてスポドリ以外にマグボトル用意して桜太にぃのミルクティーとか入れちゃってたから。
それを金田一君や国見君が飲んでも、別にこれと言って何も言われなかったし。
唯一、甘いだの何だのと言ってきたのは影山だけ。
『清水先輩、余計なこと言ってすみませんでした。今の話は気にしないで下さい』
このまま気まずくなるのもイヤで、清水先輩に謝った。
清「謝らないで?今の城戸さんの話で気がついたことがあるから。ほら、ちょっと見て?」
そう言いながら清水先輩は、水道場のフチにスクイズを並べ始めた。
清「中身の残量別に分けてみたんだけど、これが空っぽ組、少し残ってる組、そしてこの1本が半分以上残ってるやつ・・・」
全て同じ容器の為、名前が書いてあるラベルが貼ってあるのだけど、清水先輩は敢えて私から見えない様にラベルを反対側に向けて置いた。
清「もしかしたら、なんだけどね。運動量に比例して中身が減っていたりするのかなって思って。どれが誰のか、城戸さんはもう、気づいているでしょ?」
そう言われて、1本ずつの正解を出す事は出来ないけど、予想の範囲で答えてみる。
この空っぽのグループは、絶えず動いて汗だくになっている人達。
日向君や影山、それから田中先輩と縁下先輩。
半分くらいの残量は、澤村先輩と菅原先輩と、木下先輩に成田先輩、それから山口君ので・・・澤村先輩なんかは、その運動量からすればもっと減っていてもおかしくはないんだけど。
と、なると残る1本は・・・月島君。
『清水先輩?この1本って昨日もこんな感じでした?』
清「そうね、確か昨日も残り方はそんな感じだったと思う。作り直す度に、半分以上あるなって思ったから」
半分以上の残りがあって、それもスクイズ作る度に毎回って・・・
う~ん・・・
『清水先輩、ちょっと提案があるんですけど・・・』
清水先輩に声をかけて、少し考えた提案を説明する。
それは私の母が、私達がクラブチームのバレーなどに行く時に桜太にぃと慧太にぃ、そして私の3人の水筒を味を調節して作ってくれていた事。
適度に配分を考えながら動く桜太にぃ、常にがむしゃらに動き回る慧太にぃ、2人とは違う動き方の私の3人はドリンクの味の濃さが変えられていた。