第20章 心の拠り所
しかもそんな最初の方から居たって事はほとんど話の内容を聞かれているって事だよね・・・
澤「山口が結構へこんでる感じだったから気になって。様子を見に来たらお弁当食べさせてるし。これは相当落ち込んでるなって声をかけようとしたら、城戸さんがいろいろ話し出したから・・・その、ね」
『ね、じゃありませんよ!お弁当食べさせてるしって・・・あ、あれ?』
山口君と顔を合わせ、急に恥ずかしくなってお互い赤くなる。
『も、もう、澤村先輩なんか知らない!』
澤「えぇ~っ、そんなぁ」
恥ずかしいやら何やらでテンパりすぎて、自分でもどうしていいのか分からず背中を向ける。
山口君の隣にちょこんと腰掛け、2人で明後日の方向を向いたまま固まっていた。
清「城戸さん?」
静かな足音が聞こえ、私を呼ぶ清水先輩の声がする。
さすがに清水先輩は無視出来ないと思って振り返ると、それと同時に清水先輩が私を抱きしめる。
どういう意図か分からずされるままにしていると、清水先輩は柔らかく笑って私と視線を合わせた。
清「城戸さんも、寄りかかっていいんだからね」
そう言って清水先輩は抱きしめた腕で背中をポンポンっと叩くと私を解放した。
清「それから、山口も」
私にしたのと同じ様にしてから、山口君を解放する。
もう山口君は清水先輩にそんな風にされた為か、言葉も出ずに更に真っ赤になってコクコクと頷くばかりだった。
田「うおぉぉぉぉ!!山口ィ!!お嬢から弁当食わせて貰うばかりか潔子さんに抱きしめられるとはぁ!!潔子さぁぁん!オレも、オレも寄りかかっていいッスよね?!」
清「断る」
田「ぬわぁぁ!なんで山口だけがぁぁ!!」
清「うるさい、山口を離しなさい」
雄叫びを上げながら田中先輩が山口君を掴み大きく何度も揺らす。
山口君はアワアワとしながらも、抵抗する事も出来ずに振り回されたままでいる。
『ちょっと田中先輩やめて下さい!!程度が軽いとはいえ一応ケガ人なんですよ!!』
そう叫んで田中先輩から山口君を引き剥がして頭を抱え込んだ。
『いいですか田中先輩!ケガ人じゃなくてもそんなに振り回したら危ないじゃないですか!まったく、そんなだと清水先輩に嫌われますよ?分かりましたか?!』
田「ハイ、スミマセンデシタ・・・」
しおらしくなった田中先輩を見て、大きくため息をついた。