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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第19章 傷痕


最後に嫌味な言葉を言い残すとか、月島君らしいと言えばそうなんだけど。

でも、本当にあの時、抱きとめてくれていなかったら、今頃は・・・大惨事?

改めて考えると、途端に血の気が引いた。

膝がカクカクと小刻みに震え、立っていられず、その場に座り込んだ。

影「おい城戸!」

菅「紡ちゃん?!」

両側から2人が寄り添うようにしゃがみ、顔を覗かせる。

2人の顔を見て安心したのか、脱力して床に手をついた。

菅「大丈夫?」

『な、なんか、いろいろビックリしすぎて・・・膝が・・・』

澤「ビックリしたのは俺達もだよ」

正面に片膝をついて、澤村先輩が頭に手を乗せた。

澤「とりあえず、月島が受け止めてくれて良かったよ」

『・・・はい』

菅「ま、イヤミたっぷり言ってたけどね?」

菅原先輩が言うように、チクリと言い残して言ったけど・・・。

でも、あの一瞬だけ。

月島君はとても柔らかな顔をしていた。

普段は影山みたいに眉間にシワ寄せて不機嫌そうにしていて。

眼鏡の奥の瞳でさえ、冷ややかさを放っている。

いつものイメージとは、かけ離れた優しい顔。

スッと鼻筋が通った、整った顔。

ここにいる誰よりも背が高くて、線が細いのに、私を軽々と片腕で抱きとめられる力強さ。

・・・そりゃあ、クラスの女子達が騒ぐハズだ。

キレイな顔、だったなぁ・・・。

間近で見た月島君の顔を思い出し、胸の奥がざわつき始める。

なんで、こんなにドキドキしてるの・・・私。

・・・顔も、熱い。

両手で自分の顔をペタペタと押さえる。

・・・熱い。

影「お前、ホントに大丈夫か?」

覗き込んでくる影山の顔に、手を伸ばして触ってみる。

『・・・冷たい』

影「はぁっ?人が心配してやってんのに何なんだよ!」

『痛たたたたたっ!だからそれやめてってば!』

頭を鷲掴む手を振り払い、グシャグシャにされた髪を手櫛で直した。

『みなさん、お騒がさせしました。お昼、食べちゃって下さい』

そう言って頭を下げた。

菅「紡ちゃんは?」

『私は山口君のが終わってから、一緒に端っこで食べます。澤村先輩、いいですか?』

澤「ん?構わないよ。清水にも言っとく」

『ありがとうございます』

そう返して、みんなの背中を見送った。

私の胸は、まだ、ドキドキが治まってはいなかった。


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