第19章 傷痕

～日向side～

さっきの、何だったんだ？

月島が続けて城戸さんの方にサーブ飛ばしてたけど、ただのヘタクソか？

でも、その月島のヘタクソサーブで、なんか城戸さんが泣きそうになってた。

レシーブ失敗したから、泣きそうになってたのか？

城戸さんも、失敗することあるんだ？

誰にだって失敗する事なんかあるんだから、気にしなくていいのに。

オレなんかしょっちゅう失敗ばっかで、影山にその度に怒鳴られるけどさ。

月島だって、さっき打ち損ねそうだった、とか言ってるくらいなんだし。

失敗したって大丈夫だろ。

次に頑張れば。

それに、タイムの声が上がって影山が城戸さんを引っ張って言った時に、怒られてるとかそんな感じはしなかったし。

それにしても、真ん中に集まって、何話してんだろ。

時々みんなでウンウンって頷きながら、影山が真ん中で話して、なんか作戦会議っぽい。

ちょっと･･･カッチョイイ！

こっちのチームは作戦会議とかしないのかなぁ？

そう思って周りを見た。

･･･みんな好き好きに休んでる。

あと２点取れば終わるから、それでいいと思ってんのかな？

完全に終わってなければ、油断は出来ない。

なんせアッチにはキャプテンも影山も、それに城戸さんもいる。

城戸さんはさっき泣きそうだったけど、今は、そうでもない？

『イタタタタッ！』

うわっ！

影山それヤバいって！

女の子になんて事してんだよ！

影山のデッカイ手に城戸さんの頭が鷲掴みされている。

オレも何度もやられてるけど、マジで痛いんだから！

すると縁下先輩がすぐ助け出して、影山に何か言ってる。

城戸さんは頭を押さえてるし、絶対痛かったハズだ。

影「･･････俺を信じろ！」

はい？

え？

俺を信じろって、何か作戦が決まったのか？

ヒソヒソ話してるから、よく聞こえないけど。

あれ？

作戦会議終わりか？

向こうのコートが、それぞれの位置に戻った。

城戸さんは･･･まだ少し不安そうだけど、何か、凄い集中してるっぽい。

よし、オレも負けねぇ！

澤「タイム終了でいいぞ！」

その声に合わせて、こっちも位置に着く。

少し経って、清水先輩が開始のホイッスルを鳴らした。