第19章 傷痕
『ちょっ、さっきもそうだけど、私泣いてなんかないじゃん!』
影「はぁ?大泣きしてんのバレバレなんだっつうの!」
『泣いてないし!!影山のハゲ!バカ!』
影「誰がハゲだ!このお子様がぁ!」
『自分だって王様のクセに!って、イタタタタッ!それ反則!やめて!暴力反対!』
影山が私の頭を鷲掴みし、押さえ込む。
解こうともがけばもがくほど、頭が潰されそうになる。
縁「か、影山やめろって!相手は女の子だろっ」
縁下先輩が影山の手を解き、私を背中に隠した。
ほんっとに、あの鷲掴みだけは痛いんだから!
影「とにかく、やって見る価値はあるかと。
だから城戸、お前は言われた様に動け。俺を信じろ」
俺を信じろ・・・
その一言が、とても真剣に響く。
縁「影山~、そこは俺を信じろじゃなくて!」
澤「俺達を信じろ!って言ってくれないかな?」
2人の言葉に、フッと笑いが上がる。
みんなを信じて、影山の作戦に乗るしか今は道が開けない気がした。
『わかりました。ここにいるみんなを信じます・・・だから、私を助けて下さい』
そう言って頭を下げると、順番に頭をポンッとされ、顔を上げるとみんな笑顔を向けてくれていた。
澤「よし、じゃあ反撃開始と行きますか」
小さな声で掛け声をかけると、みんなは頷きあい、所定の位置に戻った。
私も言われた通り、元の位置に立つ。
大きく深呼吸をして、後ろをクルリと見回すと、みんなは大きく頷いてくれた。
あの日の事で躓くのは、今日で最後にしよう。
今は、そう思って集中しなきゃ。
目を閉じて、意識をボールに向ける。
私はホイッスルの音を合図に、ジッと月島君を見据えた。