第19章 傷痕

･･･月島君からの、２回目のサーブが打たれる。

さっきより１歩下がった場所で、ボールの軌道を見ていた。

１回目のとは少し違って、割と山なり？

そう、思った瞬間･･･

違う！！

落ちてくる！！

『あっ･･･』

咄嗟に腕を伸ばすも、瞬間出遅れたせいで弾いてしまう。

慌てて振り返ると、木下先輩がフォローに入ってくれていた。

なのに･･･

１歩及ばず、ボールはそれが当然とでも言うように、コートの外へと落ちた。

今のも･･･私のせいだ･･･

『ゴメンなさいっ、私のせいで！』

木「平気平気！今のもドンマイだ！」

木下先輩はそう言ってくれるけど、私のせいだ･･･

どうしよう･･･これじゃあの時と同じ･･･

このまま負けてしまうの？

得点板は２３対１９。

あと２点取られてしまったら、終わる。

どうしよう･･･

どうしよう･･･

どうすればいいの･･･

誰か教えて･･･

澤「スマン！ちょっとタイム！」

澤村先輩の声に肩が跳ねる。

それと同じくして影山が私の腕を掴み、グイグイとコートの真ん中へと引っ張り歩く。

『影山、なに？』

影「いいから来い。作戦会議だ」

影山が小さくいいながら、やがてみんなが集まる場所へ着くと足を止めた。

『あの、すみません私がまともに仕事しなかったから･･･』

それぞれが流れる汗をシャツや腕で拭っている。

『外してくれても･･･反論はしません。だから、』

縁「そんな事しないって。ね、みんな？」

縁下先輩がにこやかに言うと、みんな黙って頷いた。

澤「最初に言ったでしょ？戦力外だなんて思ってないって。忘れちゃった？」

それは確かに、そう言ってくれたけど･･･

成「そうそう！大地さんの言う通りだよ？」

木「むしろ、君がいてくれたから向こうのチームとここまでやってこれたんだから。それも、影山のトスなしでね」

先輩達にそう言われ、影山を見上げる。

影「いや、今の２点は間違いなく城戸のミスだ」

縁「おい、影山！」

影山の言葉か胸をグサリと刺す。

澤「でも、このまま黙ってる訳にはいかない。って。言いたいんだろ？影山は」

スッと間に入るように、澤村先輩が笑った。

影山はそれに頷くと、向こうのコートに聞こえないように小さく集まるように言った。

影「俺に考えがあります」