第17章 陽だまり
『分かりました。必要な時は指示に従います。でも、それ以外はマネージャー補佐なので、清水先輩に指示を受けますね』
そう言って清水先輩の背中にサッと隠れた。
清「大丈夫、私が澤村と菅原から守ってあげる」
清水先輩は振り返り、わざと私を抱き寄せる。
菅「ちょっと清水、オレからも守るって何?!」
清「セクハラ大王だから」
菅「人聞き悪い呼び名つけんなよー!」
ひとしきり笑い、私はいい人達に巡り会えたんだなと、改めて思った。
澤「影山もそれていいな?」
影「澤村さんの考えに従います。・・・おい城戸。ナメたトス上げたら、踏み潰す・・・」
『精進します・・・』
怖い事を言いながらも、影山の目はとても穏やかだった。
澤「城戸さん、今日は着替え持ってる?」
『一応・・・じゃ、先に着替えちゃいますね』
そう言って私はその場で制服のブレザーを脱いだ。
菅「ちょ、ちょっと紡ちゃん?!」
『はい?』
菅「はい?じゃないよ!!ここで着替えるつもり?!」
なんでそんなに慌てているのだろうと思いながら、スカートのファスナーに手を伸ばす。
菅「わぁーっ!!紡ちゃん待って!!」
ひときわ大きな声に驚き、手を止める。
それと同時に影山が私の手を掴んでいた。
影「おいっ!ここがどこか分かってんのか?」
『体育館・・・だよ?』
影「だよ?じゃねぇ。男ばっかりのところで丸裸になるつもりかよ!」
『丸裸って?!失礼ね!ちゃんと下に短パン履いてるってば!!』
影「そうじゃねぇんだよ!!」
私の手を掴んでいる影山の手に、力が入る。
『影山、痛い・・・離して』
澤「そのくらいにしときなさいよ?」
視線を絡めたまま動かない私達の間に澤村先輩が入り込む。
影「チッ」
澤「影山の言いたい事は俺にもわかる。でも、この手はダメだ」
澤村先輩が影山の手を掴み、私の手から解く。
澤「それから城戸さんもね」
『・・・はい、すみませんでした』
菅「まぁまぁ、大地もあんまり怒らないで。さ、紡ちゃんは女子更衣室まで案内するよ」
そう言いながら、なぜか菅原先輩が私の背中を押した。
清「菅原。女子更衣室は私が案内するからいい」
菅「ですよねぇ・・・」
菅原先輩がお手上げのポーズで両手をヒラヒラさせた。
私は清水先輩に女子更衣室へと案内された。