第17章 陽だまり
だから出来るだけ、コートに入るメンバーでボールを繋ぐ練習をした方が得策なんだけど。
『澤村先輩のお許しが出たから、必要であればトスを上げてあげることも出来るよ。でも、その前に日向君はレシーブ練習の方が優先かなぁ?』
日「うげぇ」
私が言うと日向君は急に青くなり、さっき飛び跳ねていたのとは逆にしおらしくなってしまった。
田「おぅ日向!お嬢の言う通りだ!レシーブが繋がってこそのトス、そしてスパイクだ!」
堂々と胸を張り田中先輩が日向君を諭した。
『そう言う田中先輩も、スパイク決まる度に脱いだり叫んだりはやめてくださいね?公式戦でフルセットになった時の為にムダな体力は使わないように、ですよ?』
そのひと言でアチコチから笑いがあがる。
澤「ま、問題児組も合わせて、これからよろしくな!」
『はい!』
澤「じゃ、みんな練習に戻ってくれ。スガと清水、それから・・・影山はちょっと集まって」
部員達がコートに戻るのを見ながら、澤村先輩に呼ばれたメンバーが集まってくる。
私は何の理由でそのメンバーが集められたのかよく分からず、ただ、澤村先輩が話し始めるのを待っていた。
澤「じゃ、揃った所で。いま話した通り、とりあえずの所は城戸さんがマネージャー補佐として俺達と行動してくれる。分からない事があれば清水は教えてあげて?」
清「わかった。よろしくね、城戸さん」
『はい、よろしくお願いします』
澤「それから、これは俺が考えている事だけど。練習の中でトス上げや、その他にもコート内の仕事を城戸さんにも入って貰いたいと思ってる」
『えっ??・・・私が、ですか?』
想定外の言葉に、話の途中であるにも関わらず声をあげてしまう。
澤「そう。例えばスパイク練習する時、城戸さんが上げたくれたら、影山もスガもスパイク打てるでしょ?普段は2人ともセッターの仕事が当たり前のようになってるけど・・・」
菅「ファーストタッチ・・・」
菅原先輩が呟くと、澤村先輩は頷く。
澤「どんな試合であれ、必ずしもセッターがトスだけを優先する訳じゃない。セッターがスパイクを打つことだってある。そのいざって時の為にも、練習は必要だから」
澤村先輩そう言うけど、果たして私が上げたトスで大丈夫なんだろうか?
でも今日から数日、私の上司は澤村先輩で、指示をされれば拒否は出来ない。