第17章 陽だまり
~菅原side~
大地が抜けてから、随分と時間が経ったような気がする。
そう思って、体育館の時計を見た。
いつ戻るんだろう。
大地が抜けた事を、縁下も気にしていたし、影山にさっきこっそり聞いてみたけど、どんな話をしているのかは知らないって言われちゃったしさ。
なんか、モヤモヤせずにはいられない。
そう思っていた時、ガラッと音を立てて体育館の扉が開けられた。
ーーー大地!
澤「みんなちょっといい?!」
大地が叫ぶと、全員が練習する手を止めて集まり出した。
澤「さ、入って入って」
大地はそう言うと、体育館に紡ちゃんを招き入れる。
!!
ちょっと待って!
なんで大地が紡ちゃんと手なんか繋いじゃってんの?!
ちょっと待って!
どういうこと!!
オレの焦りなんか関係なく、大地は紡ちゃんの手を引いてみんなの前まで歩いてくる。
澤「急な事なんだけど、今度の青城との練習試合が終わるまで、城戸さんにマネージャーをお願いした。今まで通り清水がマネージャー仕事をしてくれるけど、そのフォローって感じで手伝って貰う」
大地の話にメンバー達がザワザワと騒ぎ出す。
田「お嬢が・・・マネージャー!!うちの部に女神がもう1人、いや、天使か!!」
田中に至ってはこんなだし。
澤「とりあえず城戸さんは青城との練習試合までと言う話にはなってるけど、場合によっては
、その後も引き続いてくれるかも知れない。まぁ、俺達の頑張り次第って事で、いいかな?」
大地が言いながら紡ちゃんを見ると、紡ちゃんも大地に笑顔を向けた。
ホント、やめて。
大地とそんなに見つめあったりしないで。
さっきの時間の間に、何かそんな急に仲良くなっちゃうような進展でもあったの?!
澤「何か質問ある人?!」
田「あ、じゃあオレいいっスか?あの、大地さんとお嬢、なんでさっきから手ェ繋いでんスか?」
澤「えっ?!」
田中の質問に、その場にいた全員が一斉に繋がれた手を見る。
すると大地は慌てて繋いでいた手をパッと解き、紡ちゃんにゴメンゴメンと謝る。
紡ちゃんもそれはそれで何か慌てているし、手を離した後は大地と2人、顔を赤くしてぎこちない。
オレはさっきよりもモヤモヤ感を増幅させ、後で大地を問い詰めようと心に誓った。