第17章 陽だまり
城戸さんは俺を真っ直ぐに見て、笑う。
『そうですよねぇ、やっぱりバレちゃいますよねぇ』
カラカラと笑っているものの、どこか陰りのある笑い。
違和感のある、笑い。
「無理して笑ったりしなくていいよ?」
そう呟いて、城戸さんの頭を抱き寄せる。
『構いませんよ?その事は、変えることの出来ない事実ですし。実は、最初にマネージャーの話を断ったのも、青城に行くのが怖いな・・・って言うのもあったんです』
そっと胸を押し返しながら城戸さんは言った。
『青城に行ったら、及川先輩の取り巻き女子達がいます。それはもう、山のように。私はその取り巻き軍団に凄く嫌われていて、面倒な事に巻き込まれるのも・・・とか』
「嫌われてるって、なんで?」
『それは嫌われますよ。みんなのアイドル及川先輩を、理由があったにせよ私が放課後独り占めしてたんですから。ま、私はアイドルとかそんな事を思ったことはありませんけどね』
ニコニコしながらズバッと言うなぁなんて思うのは、俺だけだろうか。
「だから、私にいろいろ指南してくれた先輩がいる所との練習試合、行きにくいなって。でも今は違います。一緒に青城に堂々と乗り込んで、新しく動き出した烏野の底力を見せつけてやりましょう。影山を指名して後悔したか?どうだ、参ったか?!うちの3年にも、頼れるセッターは控えてるんだぞ?!って」
「あはは、頼もしいなぁ・・・って。えっ?!それじゃあ?!」
いま、一緒に青城に乗り込んでって言ったよな?
俺の聞き間違いじゃないよな?
瞬きを繰り返しながら、城戸さんを見る。
俺との目が合うと、彼女は穏やかに微笑みながら、ゆっくり頷いた。