第17章 陽だまり
~澤村side~
城戸さんを連れて、部室の前に着いた。
「ここが俺達、男子バレー部の部室だよ」
言いながらドアを開け、中へと案内しようとして慌ててドアを閉めた。
今の惨状は・・・なんだ?!
少なくとも俺達が着替えた後は、あんな凄い惨状にはなっていなかった。
最後にここへ入ったのは・・・確か・・・
田中か!!
アイツは遅刻ギリギリで走り込んできたらしいから、それでか!
『澤村先輩?』
「あの、ちょっと・・・っていうか、かなり散らかっちゃってるから、片付けてきても?」
ドアの前に立ちはだかり、城戸さんに承諾を得ようと問いかける。
『別に構いませんけど、何だったら私も手伝いますよ?その方が早く終わるし、それに散らかっていても私は気にしませんけど?』
「いや、そういう訳にも行かないから、ホントちょっとだけ待ってて」
そう言い残し、素早くドアを開けて部屋に入る。
改めて散らかった部室内を見渡すと・・・
「ったく、派手に散らかしてくれちゃって」
外で城戸さんを待たせている事で焦り、足元の確認を怠っていた。
「う、わぁっ!」
放り出されていた田中の鞄につまづき、転んだ。
・・・ったく、田中のヤツ。
あとで今朝の遅刻ギリギリも含めて説教コースだな。
ふぅ・・・と軽く息を吐きながら起き上がった。
『澤村先輩?!大丈夫ですか?いま何か凄い音が・・・』
ガチャリとドアが開くと同時に、城戸さんが顔を覗かせた。
「びっくりさせてゴメンね。足元見てなかったから、つまづいちゃって」
『大丈夫ならいいんです。私こそごめんなさい、ノックもしないでいきなりドアを開けちゃって』
「それは気にしないって。心配してくれたから、の、行動でしょ?」
俺はそう言って頭をかきながら笑った。
「それよりさ、見られちゃったね」
『あ~・・・まぁ、はい・・・でも、男子部の部室って、こんな感じなんじゃないですか?それにこれくらい私は気にしませんけど』
そう笑いながら言われても、恥ずかしい気持ちが浮き上がってくる。
「いつもはこんなじゃないんだ、もうちょっと、その、片付いてるんだけど・・・」
クスクスと笑う城戸さんに、なぜか言い訳するように俺は言っていた。
『とりあえず、座りましょうか?』
「そうだね」
そう答えて、俺は2人分の座る場所を確保した。