第17章 陽だまり
健全な男女が密室に2人でいるとかダメでしょ!
それに紡ちゃんが来てるならオレに教えてくれても!
だいたい大地はなんで紡ちゃんが来たこと知ってんだ?
疑問やら焦りやらがオレの思考を埋め尽くしていく。
影山・・・
そうだ、影山が大地に何か言った後から変だった!
「清水・・・紡ちゃん、お嫁に行けない体になったら、どうしよう・・・」
そう呟きながら、その場にしゃがみ込む。
大地は正義感も責任感もある、ちゃんとしてるヤツだって分かってるけど。
けど!
あんな可愛い紡ちゃんと密室に2人でいたら、男女なんて何がキッカケでどうなるかなんて・・・分かんないじゃん・・・
マイナス思考が次々と湧いてくる。
ースパーン!!ー
予期せぬ音と共に頭に痛みが走る。
見上げると、清水が丸めたノートで構えていた。
「清水ぅ・・・ホントそれやめて、結構痛いから」
涙目で訴えると、清水はノートを真っ直ぐに伸ばすようにポンポンと広げた。
清「城戸さんが言ってた。澤村と2人きりになっても心配いらないって。信用されてるね、澤村は」
「そんな事言ってもさぁ」
清「それに、もし澤村が間違いを起こしそうになったら、ドア全開にして叫ぶから大丈夫だって」
「いや、それじゃ遅いだろ!」
清「それが聞こえたら、菅原を派遣するからって言った。その時は菅原、死ぬ気で走って。じゃ」
その時は・・・って。
その時が来たらモチロン死ぬ気走るけどさ。
いやいや、その時が来たら遅いだろ!
そうひとりツッコミをしながら、仕事に戻る清水の後ろ姿を見送った。
頼むよ大地・・・
オレはモヤモヤする気持ちを抱えながら、清水からの制裁をくらった頭を押さえた。
ホント痛いよ清水。
はぁ・・・と大きく深呼吸して、託された練習メニューに戻る事にした。